みなも泳ぐ水鳥も

観劇と他の趣味

2023年見たものまとめ(5~6月)

キングダム(配信)
面白かった!すごく良い大劇場の漫画原作舞台だった。終わりの暗転が美しくて、あれは劇場で見たかった。

 

キャストの若者とベテランの配置が見事。

みうちゃんの主人公力がすさまじい。東宝が新しくやりたいことの軸になるのわかる。
そして私は牧島くんのことがかなり好きだな。声色多彩で、漂と政で全然印象が違う。もっとふんわりした印象があったんだけど、今作では名君になる青年の精悍さがあった。

やっぱり祐様の声で登場すると面白いんだよな。原作があんな感じなのか詳しくないけど、ミームとして見かける印象にはかなり合っていたのでは。

壁と昌文君がキュート。ふっと緩むシーンも熱いシーンもふたりともすごく好きだった。昌文君が王騎に「あなたがひとりでバカ熱くなってる理由が少しわかりましたよ〜」って言われる理由がわかるのがすごくよかった。若手とベテランの間に立つ、若き王にかける男。

ゆっくん左慈も見たい気持ちもあるけど、あのくらいの年齢の左慈が見られてよかった。温度のない人斬りとしての存在感がすごかった。

王弟の方が新納さんの嫌な役を彷彿とさせる。あの手の役が上手い俳優が好きだ。片眉だけあがる表情とちょっと癖のある声が好きでした。

カテコで子役を抱き上げる主演ふたりの横で、貂の頭ぽんってしてた昌文君がきゅんすぎた。

全体のパルクールも殺陣もかっこよかった。ただ、芝居強めのシーンの戦闘の無音はたしかにちょっと気になった。北斗の拳のときも思ったけど、打撃音入れたらだめなんだろうか。

甲乙という訳ではないけど、「新感線みたいだなあ」「新感線だったらここで拍子木鳴るなあ」って見ながら考えてしまっており、国産アクション活劇における新感線の型って唯一無二なんだなあって思いました(さらに元は歌舞伎だけど)。

 

歌舞伎家話(配信)
松也×柿トーク。気の置けない友達なんだろうなという感じでとても楽しかった。

2014スリルミーで松下松也柿澤のご飯会に万里生くん来たけど10分で帰った(理由は不明)の話。用事あったのか嫌だったのかはわかんないけど笑、2015年エリザの稽古場でIMYたちがかしましすぎてお花様の元に避難していたよしまりのこと思い出して微笑ましい気持ちになった。全然タイプは違うけど、酔っ払ったら電話する程度の交流はあるかっきーと万里生さんのことけっこう好き。

漫画原作演目でトライアンドエラーの話。すごく上手くいった作品もあるし、出来はよくなかったのも目指すものは正しくて、エラーのプロセスも大切、って表で言い切れる人は素敵だなあと思いました。

かっきーが長唄興味あるって言った途端に「清元もやろ!全然関係者と繋ぐし!てか俺が繋がなくても周りにいっぱいいるよね!!舞台に立てとは言わんからけんけんと3人でなんかやろ!!正座嫌なら椅子作るし!!」のテンションになった松也さん、本職に向かって言うことじゃないけどオタクの熱量……となって愛だった。

初めて歌声聴いたときにDNAを感じたって言ってて、プロが聴いたら本当にそうなのかもしれないし、最近血縁主義について思うこともあり、でも自分もこういうエモに弱い自覚もあり、いろいろ考えながら聞いていた。

蜷川さんの時代を感じるエピソードの流れでロミジュリの話になると歯切れが悪くなるかっきー嘘つけなすぎてラブい。

今年のスリルミーの話。38歳が大学生やります、他は20代なのに、でもこの前新納くんが出てたんだから大丈夫だねって廣瀬さんとふたりで喋ってたって言ってて、かっきーが笑いながらおい!ってつっこんでた。新納さん本人もネタにしてるから大丈夫なんだけど、かっきーはその場にいない人の話題でいじる形になったとき必ずフォロー入れる印象で、そういうところ本当にきちんとした人だなあって思いました。

 

人魂を届けに

完全に理解はできなかったけど、わかることが正解ではないんだろうなと思った。しばらく考えたい。

開演前にしんとした静寂の中で鳥のさえずりだけを聞く時間があってすごく印象的だった。

いろんな要素が入っている作品だと思うけど、最後の陣と山鳥のやり取りは「組織を憎んでも個を許して救う」「構成する個人も救われることを信じて正しいことをする」ことでしか組織は変わらない、ということかな。陣さんが森から出られたあとどっちに振るかわからないけど、少なくとも理解して出ていったように見えた。

複数役の方々の役の切れ目が分からなくて、森の家と現実の境があいまいなのがすごく好きだった。

女形で有名な篠井さんが山鳥を演じてる作品の中で、佇まいとか声色が普段と明確に切り替わらないまま八雲の妻が存在してたのがなんとも良かった。伝統的な女型とそれほど性差を感じない日常の女性役が両方とも出てくるのがなんかすごく好き。
もうひとり、作中女性と同じ俳優が演じる、一人称に揺れがあって「本人の意思でなく恋人を失くした」としか語られない葵さんが気になる。
男性俳優だけで構成されている作品だから私がそこに意味を見出そうとしてるだけかもしれないけど、安井さんとの夫婦役という目新しさだけじゃなくてかなり意図的に境界をぼかしてるように感じた。ここに山鳥が作中でも性別男性である事実が絡んでくるのかな。

初め気づいたら舞台上に立ってた黒ロングコート陣さんにびっくりした。めちゃくちゃ似合っていてかっこよかった。

 

ART

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セトウツミ@ビレッジホール
滑り込みで大楽。眼鏡忘れたけど、頭から見損ねたけど、帰りに目の前でパンフ売り切れたけど、めっっちゃ面白かった。

シリアスな最終パートまでどっかんどっかんウケていて、原作が面白いのももちろんなんだけど、舞台上での具現の仕方がかなりめちゃくちゃ好みだった。テンポが良い。最終パートも体温は変わらないのも好み。

ぼんやりとしか出演者把握してなかったからカテコで出演者6人なことに驚いた。
納谷さんと佐藤日向ちゃんがツボでした。田中真二のひとり語りのパートで、ぴょんって飛んで手すり踏んで飛び上がっていて身体能力何事かと思った。樫村/ハツ美の切り替えがめちゃくちゃ好き。

3月から河原で稽古しながら中華統一を目指してた有澤牧島両人。短い切り替え期間で大阪の高校生になっていてさすがでした。
牧島くんは本日もカテコの挨拶が好みだった。おもろの温度が好き。
有澤くんは兵庫県民なんだね。映画ドラマ舞台どれも瀬戸だけ関西人なのは、やっぱりまくしたてるからかな。

そういえば末中小吉も左右対称だなと思った。

 

ある馬の物語@世田谷パブリックシアター
冒頭ビニールに包まれて吊られたところから落ちてくる成河馬でまず心をつかまれた。あんな姿誰でもなかなか見れるもんじゃない。

終始フィジカル成河。馬たちがめっちゃ馬ですごい。

スーパー小西タイムがどの役でもめちゃくちゃ面白い。あんなにかっこいい=面白いの人なかなかいない。美の象徴たる黒毛のイケ馬が彫刻みたいな美しさだけでなく、存在もイケてて素敵でした。

小柳友の御者、明るいけど色気もあってすごくかっこよかった。
1幕ラストのそりのシーンと、ぶつっと切れる休憩の入り方も好き。

 

ムーランルージュ@帝国劇場

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兎、波を走る@プレイハウス
現状あんまり正しい感想が出せない気がする。過去に見た野田地図作品に比べて主題についての知識が乏しく、まぶされてたモチーフや事実が結びつかなかったというのはあるかな。忘れさせないっていう目的は私みたいな人間にこそ意味のあるものなのかもしれないけど。
あと現在進行形であるはずの主題と、AIについて、とかの生まれたばかりで答えの出てないテーマが複数混ざってて、そこの関係を見ようとしてしまってわからなかった。

演劇オールスターズな座組で、テーマに反して悲劇的すぎないお芝居なのは好きだった。セットとギミックも美しい。

いつもどんな扮装してても秒でわかるような俳優ばっかりなので、この俳優さん誰だっけと思ったらその人は野田さんがち。