みなも泳ぐ水鳥も

観劇と他の趣味

2023年見たものまとめ(12月)

明らかに忙しい時期にめちゃくちゃ予定を詰め込んだので、集中力を欠いた月だった。反省……。あんまり無茶せずにちゃんと見たもの受け止められる余裕を持てるスケジュールにするべきですね。

 

リムジン

こちらも2020年リベンジ作品でした。

ワンシチュエーションの会話劇。自分たちも周りも全員がうっすら事実を分かっているのに、各々の理由で触れないようにしているのがリアル。

その空気で守ろうとしているものが、美しくて経歴があってやわらかい作業着の向井理が組合長になる未来であることの説得力がすごい。元のビジュアルももちろんあるだろうけど、作業着が似合わないように作ってあるんだと思った。

 

ウィキッド

お噂はかねがねの作品だったけど、想像を超えて最高で完璧だった。

2001年を受けて作られたという、為政者が都合の良い悪者を仕立てて民衆がそれを信じるというお話の筋も本当によくできているんだけど、みんなに囲まれた人気者が「周りに求められる自分」をやっていくためにひとりで生きていくことを選ぶ決断を、無駄な説明なく見せる美しさに震えた。あとマイノリティの知識人が言葉を奪われるくだりが本当につらい。

1幕の学園パート、あんまり四季のイメージになかった自由度の高さでめちゃくちゃ楽しい。グリンダのギャグセンの高さがずっと面白かった。きゅぅってなる嫌な学校あるあるからのふたりの雪解けがしびれる。

フィエロは超リアコ枠。恋におちてしまった。歌い方がシンガーっぽくてダンスが上手い。ちょっととろんとした表情と喋り方が好き。

個人的にはネッサにいちばん心を寄せてしまった。孤高に生きざるを得ない人の横にいた強くあれない人。本当に勝手な人だとは思うけど、エルファバにもグリンダにもなれない人間は、どうしても自分はここだと思ってしまう。

オズ陛下、やってることはめちゃくちゃなんだけど、ニコニコしててビジュアルがキュートで声がかっこよすぎるので、ずっとクソ!って思ってた。でも人たらしの為政者としてはむしろこうなんだろうな。だからこそ中も外もついていってしまう。

 

ジョン&ジェン

疲労がピークで上手くキャッチできなかった。

強い姉に守られて育ち、一般的な学生生活を送って、「アメリカの若者」になった弟のジョンと、強い母の気持ちを慮りながら成長した息子のジョン。

1幕後半のジョンのタイプの役あまり見る機会がなくて新鮮。オールバック撫で付けヘアも好き。生活拠点が分かれた結果、政治思想で対立することになる姉弟の口論がリアルでつらい。

ジェンの中の弟が大きすぎるのは責められないけど、息子のジョンがじわじわずっとしんどいのも分かるので、2幕はずっと苦しい。ジョンがいろいろわかってやってる子なのがなおつらい。

ゆるやかに切り離して生きていく未来が見えるラストは淡い光だった。

 

もちろん世界的にもそうなんだけど、9.11とその後の世界の変化はアメリカにとって描くべきテーマなんだなと思った2作でした。

 

LUPIN

ずっとなんなんだよ!って思いつつも、個人的には見やすくて楽しい作品だった。手たたいてはしゃげる作品の良さがある。プリンシパルのキャラがそれぞれ立っていて、物語の深みとかはとりあえず置いといて、好きな俳優のたくさんの出演作の中の1つとしてあったら楽しいでしょう。

クラリス、ともすれば取り合われる典型的なトロフィーヒロインなんだけど、自立心はあるけど恋に恋するお年頃で、詐欺師の甘言につられて着いてっちゃうところもある絶妙なバランスのキャラクターで良かった。真彩さんの太陽みたいな明るさが、キャラの魅力を倍増させていたと思う。

1幕終わり時点で色恋コカインおじさんだったホームズは、最後まで見ても蚊帳の外色恋おもしろおじさんだった。何一つ事件に寄与してないのは原作準拠なのか演出家の個のみなのか。「俺はお前のライバルだからな!な!」を世界的探偵でやるな。
でも顔がすこぶる整っている面白おじさん本当に好きなので好きだった。イジドールくんとの即席バディスピンオフ作ってほしい。

 

ベートーヴェン

north-th-east.hateblo.jp