みなも泳ぐ水鳥も

観劇と他の趣味

2023「エリザベート」

1/11 @博多座
さいこうだ〜〜!!!怖くて気持ち悪くて最高。
1幕の闇広、表情が気持ち悪くて好きすぎる。
芳雄さんの最後のダンスなんか両手で数え切れないくらい聴いてるんだけど、トートだとやっぱり違うんだよな。怒っていて圧倒的。

蟄居を命じられて父に厳しく言われているルドルフをものすごく邪悪な笑みで見つめていた。
かと思ったらラスト愛のテーマがすごく優しい表情で、これは人生の終わりに和解できたシシィにとっての死なのかもなと初めて思った。最後の最後は絶望の表情で涙まで浮かべていた。

髪型変わってた?あんなに編み込み多かったっけ?青メッシュは健在でした。すけすけガウンの中に着てる刺青インナーが背中にも模様入ってるのが見えた。
TDとのコンビネーション見たいんだけど、顔と表情が好きすぎてかなり定点になってしまった。なんか、とにかく、顔が好き……。表情筋がディズニーアニメ。キレている顔、迫っている顔、邪悪な笑み、感情が読み取れない顔も全部好き。
ルキにベタベタする癖も生きていて、黒ルキは比較的トートのこと好きそうなのでかみ合っていた。上山ルキは距離がある印象があるのでどうなるのか気になるな。

いちばん実在感のあるトートだった気がした。表情がめちゃくちゃ変わるけど翻弄されてるというのも違って、怒って迫って指先で動かして笑って目を見開いている。

腕組んで片手を口に寄せてたり、子ルドから受け取った拳銃を唇に寄せるのを闇広でもマイヤーリンクでもやってたり、体操室で椅子に片足だけ乗せてから上がったり、仕草が好きだった。悪夢も煽るというより自分の世界で楽しんでる感じ。

 

井伊くん子ルド、芝居歌!って感じで強かったなあ。ママどこの登場でママ!ママぁ……って声が落ちて、最後のフレーズで涙声になっててもらい泣きしそうになった。

しゅがさんは私の中では晩年の方がご本人の声のイメージに近いんだけど、青年期も声若くてキラキラで素敵。執務室でぐっと深さが増す。悪夢は最強バトルで幸せだった。

シシィ両親がほんと毎回好き。
♪夫の代わりにシシィを連れてきたの のお芝居が間のみになってるとこ好き。結婚式で「あの子王冠落としたのよぉ……」って報告してるのも好き。後ろ髪引かれ続けてるマックスをなだめて手を引いていくルドヴィカ好き。

 

カテコ、これまでのカンパニーの激励。
「何の試練だって感じで大変だったのに僕の稽古に付き合わせてしまって」「ぱらぱらと集まってくるのが戦士たちが戦いを終えて帰ってくるみたいな」
衣装の話
「久々にこの衣装も着ましてね、初めてのメンバーもへ〜こうなってるんですね〜って見に来たり」「今回やって思ったのは、この魚の骨はトートのコレクションなのかもしれないですね、おっきい魚捕まえてたみたいな」
「こいつめっちゃ喋るじゃんって思ってるでしょ」「お正月の帰省のついでにやってるとかいう陰口も聞こえてきますけど、いやいやそんな片手間ではトートはできないですからね!」
ほんと何かに追いたてられてるようにめちゃくちゃ喋っていて面白かった。

 

1/12 @博多座

芳雄トート、意志を持って動く厄災みたい。彼が決めたことは決まったこと。2019年はもう少し動揺の感情があったと思うのだけど、その辺がまったくない。
「最後に勝つのは俺」なのは決まっていることだけど、自我を持って自分の思いに背かれると苛立ちはする、のでキレて迫りにはくる。

どちらかというと切長狐目の方だと思うんだけど、今回笑って目見開く表情が多くて普段と顔が違って見える。口は笑いながら目が怒ってる。

なんとなく両シシィの性格に合わせて攻める強さを調節してる気がする。ちゃぴシシィに対しての方が怖さが強かった。


芳雄トートにとってルドルフは駒でしかないし、甲斐ルドは本当にちょろかっただろうな。友達だって言ったら嬉しそうにするし、ちょっとけしかけたらその気になる。大汗で表情ころころ変わる甲斐ルドと、指先で人を操り魅力的な表情で人をこましにくる芳雄トートの闇広最高だった。

甲斐ルドの母親に向ける笑顔が、媚びてるような憧れのヒーローを見る少年のような。何とかしてくれるでしょ?ってすがる顔。でも母は何ともできないことが積み重なって今に至るんだよ。

TD8人いるな〜って見てて嬉しかった。不在分埋めてるときも違和感なくカバーされてたけど、揃うとやっぱり迫力が倍増するね。

 

お花様から初日のご挨拶と今日初日キャストの紹介あり。
「おかえりなさい」って言われた芳雄さんが前に出て「帰ってきたば〜い!!」ってやってたら「昨日喋ったんでしょ」ってシシィに下がらされる。下がってきたトートの魚の骨嬉しそうに笑いながら触る陛下。

 

1/30 @博多座

胸いっぱい。感無量。

 

悪夢、ものすごく邪悪でものすごく怒っていた。敵意剥き出しの怒りをフランツに向けていて、フランツも一心不乱に怒り狂っていてまさしくバトルだった。フランツと彼越しに見えるトートの画一生忘れない。

最後の愛のテーマは穏やかさの中にずっと戸惑いが見えた。シシィ主導で抱きしめてキスして、求めていた人に目の前でひとり逃げられたような呆然とした表情。シシィの完全勝利のラストだった。

最後のダンス登場の気怠げさ大好き。指先でTDとシシィ操りつつ静かに眺めている。静かな余裕の笑みから執着と苛立ち大爆発のコントロールが最高でした。

1幕闇広、長女の棺を見て打ちひしがれるシシィを眺めて後ろにもたれながらニヤァって笑うの邪悪。こっちも執着と苛立ちを隠さない表情が怖くて大好き。

カフェの閣下、何の疑いもなく革命家の顔してるんだけど、徹底して片手で周りの人間コントロールしてるの好き。

体操室、しわがれたドクトルの声色からシシィの決断を聞いて閣下に戻っていく。♪彼が罪を犯したなら〜で、ものすごく嫌な笑顔で高笑い。長い足がベットにかかる。脈とった後に熱計るの、いつも手の甲を頬に寄せてるんだけど、今日その流れで頬に張りついた髪の毛を小指ですくってはらっていて、やばかった。

闇広圧巻だった。♪不幸が始まるのに〜のがなりで追い詰められて革命に引っ張り出されたように感じた。1階影コが響き渡って教会みたいな神聖な雰囲気すらあった。

子ルドに見せる優しい友達の顔は青年になってからも同じで、マイヤーリンク登場時すら絶望にしみ込むような気遣わしげに"見える"表情で銃を差し出す。最期ふっと微笑んで倒れたルドルフにとって、トートのそばは数少ない安らげる場所だったのかな。甲斐ルドに対するより優しい気がした。

銃も鞭も口に寄せて喰らわんとするの、衛生的な裏事情もあるんだろうなとは思うんだけど、舌出すより閣下っぽくて好き。

私だけにの後、♪トート閣下はご機嫌斜めだよって言われるのに、その前後で閣下出てこないの不思議だなって思ってたんだけど、芳雄トートは最後のダンスと闇広で明らかにご機嫌斜めなので、初めて腑に落ちた。

トートロード寄りの席で、照明当たってなくて闇に溶ける閣下を肉眼で見た。美しかった。ベロアのロングコートかっこいいよね。


私だけに、絶唱で言葉もなかった。この時間冷凍保存して後世に残したい。

精神病院もパパみたいにリプライズも、色々なことを求めながら同時に諦めてきた花シシィの人生を感じて哀しい。ずっと横で首を振って否定している女官さんも涙腺にぐっときた。そばで見ていて「強い皇后」だけでない強さも知ってるんだろうけど、彼女の肯定だけではシシィの心は解けないんだろう。

ルドルフ葬儀、狂気に振れるほどの悲しみでフランツが目に入っていない。フランツが悲しいのは拒絶されたことだけじゃなくて、こうなってしまった全てのことが自分の行動と判断に起因しているからかな。

夜のボートはものすごく愛を感じた。ふたりとも涙を溜めていて、悲しみを分け合いたいフランツと、こうなった以上元に戻ることはできないシシィのすれ違い。まさにあなたがそばにいればとの対比になっていて、あの頃より愛は深くなっているけどだからこそもうあの頃には戻れない。
あなたがそばにいればで既に薄々気づいていながら見て見ぬふりをしていた「自由」がフランツにとってずっとしこりなのがすごくよく分かった。だからトートも最後に自由を持ち出して攻めたてるんだけど、トートが与えたものでもなく、エリザベートは生きて自分で勝ち取ったんだよね。

HASS前の親子喧嘩、母のことぶつけたら父の傷に触れるのは間違いないんだけど、それを効果的に使うにはルドルフにとっても傷すぎる。親子ふたりでただ傷つけあってる気がしてつらい、あのシーン。

皇后の勝利~マダムヴォルフのグリュンネ伯爵、いろんな娼婦に寄ってこられてあわあわしてるし、あの人だけは普段遊んでないんだろうな。皇帝の相手見つけて買う使命をまっとうしてるだけに見えた。さすが信頼の右腕。


カテコ、2回目左右にロイヤルにお手振りするフランツ。そのままくる〜ってトートの方まで回ってお互いに手振りあって幕が降りていった。
シシィトートのカテコ3回。2回目いつもの勢いのあるお辞儀したあとにハグ!芳雄さんが腰ポンポンってしたら肩ポンポンポンってたたき返すお花さま。

本当に本当にありがとうございました。

 

@前楽配信
上山ルキ、降臨した閣下に糸つけられた瞬間に暗殺者になることを定められたみたいな感じがした。それまではそれなりに義憤を抱きながらカフェや牛乳売りで生活してる市民だったのに。閣下に触られるときの恍惚でもないニヤッていう表情好き。
「ミルク〜新鮮なミルク〜」「おうおうおう、はいはいはいはい」「最後の一缶だ!」「ないものはないんだ!」「在庫なし!」が市井のミルク売りのそれで好き。申し訳ないんだけど仕方ないだろと思ってるミルク売り。
♪皇后〜そう!の部分、2019成河ルキの発音がしばらく踏襲されてた気がするけど、この回の上山ルキ過去のどのルキとも違ってすごくいい。


ちゃぴシシィ、愛と死の輪舞曲でトートに引っ張られるときほんとに引っ張られて肩から持ち上がる。シシィに見つけられても何の表情も出ないの、芳雄トートたる全てが詰まっていて好き。

結婚式のちゃぴシシィ、オルゴールのお人形みたいで本当に可愛い。閣下が真ん中立ってシシィと動きがぴったり重なるところぞくっとする。

芳雄トート周りをなぞるような仕草が多くて直接触れること少ないのに、最後のダンスでは物理的に腕引っ張ってシシィ引きずっていくの好きだ。

ちゃぴシシィの私だけに、あまりにも強い光。

とにかく1幕闇広が気持ち悪い!!対ちゃぴシシィだと3割増しで怖さが増していて、あの声の震えとガッと目見開いた表情が好きだ!!
片腕組んで娘の棺見せながらシシィ観察してる閣下。一連の表情の引き出し、あの善良な人間のどこから生まれてくるの。

「あなたが??自由を???笑」のちゃぴシシィ強すぎる。♪嵐の夜もそばにいようでちょっとだけ気遣わしげな顔見せる閣下、懐柔しようとしてるっぽくてちょっと可愛い。♪俺が望むときに好きな音楽で〜で腕に口寄せて這わせるの好き。

♪嘘だわひどいこと〜の前にコルセット落とす音が音楽にはまるのすごく好き。♪でもないさの5文字でドクトルから閣下に切り替わる声色コントロールの見事さ。♪"あ"いつを"あ"いしちゃいない〜の踏み方が本当に好き。

閣下が人間をこっち向かせるときの手首のひねり。♪見ていていいのかぁ!と♪立ち上がれよ!のざらざらした声色、煽りの効果倍増。嗜虐的なトートと透明で純粋で壊れそうな青年、綺麗なシャボン玉叩き潰すみたいな美しさがある。

マイヤーリンク後、何の感情も見えない顔で去っていくトート。

ルドルフ葬儀のしゅがんつ、彼は彼で当然悲しくて、彼に寄り添ってくれる人もいてほしいと思ってしまった。しゅがんつに関してはヘレネと結婚してた方が「幸せ」ではあったんだろうなと思うこともあるんだけど、彼自身がそれを選ばなかったんだよね。
ルドルフ葬儀後、魅惑的な表情でキスしようとしたのにシシィを拒絶した後、自分でも困惑しているような顔が好き。
銃も鞭もやすりも口を寄せて大きく開けて食らわんとしているの、シシィに対してもそうで、黄泉に連れて行こうとしてる場面の表情がキスというより食べてしまいそうなんだよね。

悪夢ま〜じで好きだ。回を追うごとに凶悪度が増している。
期間前半の余裕綽々も好きだったけど、あそこまで怒りをあらわにしてるのも好き。"表情管理"的なものを超越する怒り顔が出てくる。

なぜか一場面でしか並ばないゾフィーとマックスの関係にぐっとくる。特に涼風ゾフィーだと、毛嫌いするだけ無関心より興味を持ってる気がする。

妻が何を求めてるのか本当はわかってそうなしゅがんつ、母との諍いも見ない振りした上で自分は相手に安らぎを求めるので、分かってないよりたち悪い気がしてきた。
これはずっと思ってた陛下への愚痴だけど、母が経験豊富なのは母が自分で子育てしてきたからで、今回も母親にやらせたらその能力は育たんやろがい、国の長なら人材育成も見据えて発言せんかい、とずっと思ってた。

現地だと指向性の問題で聞き逃すアンサンブルさんの声が配信だと聞こえるので、ガヤガヤしたシーンが楽しい。

 

少なくとも配信回はだけど、書斎とか体操室とか弱ったシシィに迫る場面でトート自信が魅力的に見える見せ方を避けてる気がする。顔寄せるときに口大きく開けるのもそれな気がする。
閣下をピックアップして見ていくと、人格をかなり廃しているように見えてくる。
新たな強力な解釈のトートを見られて本当に幸せでした。

 

@大楽配信
ゆんトートの輪舞曲は嬉しそうで可愛い。最初は怪我によるものだったのかもしれないけど、TDがシシィ抱えて運ぶ動きにトートとTDが一心同体な感じが強く出てて好きだな。親戚が気づく前にTDに囲まれてるのも死の淵っぽい。
そういえば悪夢で発狂する上の妹って、最初にシシィの落下に最初に気づくあの子だよね。物語のカメラに映らないけど同じ家から同じく破滅の運命を辿るのつらい。

シシィへの感情、涼風ゾフィーは同族嫌悪で、剣ゾフィーはああいう奔放な人間がそもそも苦手そう。涼風ゾフィーはマックス嫌いなのも少なからず似た属性を自分も持っているからな気がする。

やっぱり私にとって日本のハプスブルク家はまりまりなんだよ。破滅に向かうって分かっていても、プロポーズもあなたがそばにいればも結婚式も高貴で美しい。

最後のダンス前の音ハメでTDがひとりずつ起動していくの、閣下を迎える装置みたいで好き。自由なフェイク歌唱に湿度の高い表情の最後のダンスが本当にかっこいい。

結婚後のまりんつ、ぎりぎりで助けを求めた夫に笑顔で檻の鍵かけられるみたいな、絶対にシシィの思い伝わってないだろうなっていう絶望を感じる。でも彼の愛の大きさはわかるからつらい。

三木くんこの4ヶ月でみるみる大きくなって、精悍な少年になっていてびっくりした。いちばん見た子ルドでした。みんな歌も芝居もすごい好きだったな。

2幕頭カテドラルのシシィって、パレードの時からトート見えてるんだね。そして何かを見ている妻に気づいてるフランツ。
ママどこ最後で子ルドのこと見つめながら肩で息してるゆんトート、かなり狂気を感じて好き。息子のこともお気に召したのかシシィとつながる糸に興奮してるだけか。

鏡の間以降ずっと花シシィの高貴さが溢れ出してる。だからこそ精神病院のナチュラル傲慢ムーブの説得力がすごい。シシィが戦って今ここにいるのも今もつらいのも全部本当だけど、同時にやっぱり傲慢ではあるよ。

体操室で陛下の裏切り知らされてものすごくショックを受けて泣いてまでいたシシィ。フランツもずっとすごくて、対シシィのシーンはもちろん、ゾフィーとの最後のシーンも感情が詰まっていた。杖を鳴らされると自然と背筋伸ばしてしまうけど、それでも母を振り切るフランツ。まりんつは母親と一心同体なので身を切るような苦しみがある。

こう思ったらこう!な晩年のまりんつに、頑なな甲斐ルドは似てる。でも雰囲気がシシィに似てるところもあって、父の説得にママを持ち出すの本当に見ていてつらい。

♪誰も助けられない〜(パッと笑って)ママだけが〜のところ映像だと鮮明に見えて、ちょっと嫌悪感すら感じる。でもルドルフにとって母はなかなか会えない英雄だもんね。

ゆんトート、マイヤーリンク後のルドルフとの死の接吻がヅカキスの極意。相手の顔に寄せた手で口隠して正面に向き直るまで美しくてとても好き。
ルドルフ葬儀で、入ってきた妻を見とめて小さく「シシィ……」って呟くまりんつ。2幕って冒頭の戴冠式以降ここまで一切夫婦が会わないんだよね。

悪夢、いつも皇帝然とした居住まいを崩さなかったまりんつがぐしゃぐしゃになりながら抵抗するの本当に好き。

 

ラブ溢れるカテコも配信で見られた。本当にお疲れ様でした。
次回あるとしたら本当にがらっと変わるんだろうなと思ったな。お花さまだけでなく作品としてもひとまずの集大成かもって感じたし、変わった形も絶対見たい。

この大楽が見られたことが何よりの幸せでした。私は個人的な思い入れで花よしまりを優先して取ったけど、配信されたのがこの組み合わせだったのは良かったと思う。
奔放なシシィと苛烈な帝王がより強く噛み合ってたし、大楽の3人のトーンが近くてぐっと深みを増していた。

最後、大好きな皇帝夫妻の夜のボート聴き終わったところでエンドでした。
エリザベート2022-2023終了!