みなも泳ぐ水鳥も

観劇と他の趣味

2021「ジャック・ザ・リッパー」

真相は途中でなんとなく分かったけど、見せ方がとても美しかった。

"俺の正義"に基づいて行動しているけどその正義はいわゆる常識から逸脱してないか??という正義面の男、好き。
己の正義に邁進する男の狂気が好きなので、達成ダニエルとてもツボだった。

 

長いと言われがちな1幕の出会い部分も、そういう風に作ってるように見えたな。
ダニエルグロリアパートから曲調も異様に爽やかでキラキラで、でもやってることは殺人犯の手引きと"正義"のための臓器売買の依頼なの、噛み合わなさがわざとっぽくて面白かった。
横で聞いてる大人ふたりがめちゃくちゃ飽きてるのも、我々とリンクさせてるんだろうな。

1幕の出会いと別れの物語がダニエル自身の語りだとすると、やたら「「「さすがダニエルだぜ!」」」って言ってくれる友人3人実在するのか??って思った。
身なりと顔がすさまじく良くて、登場からずっと誠実ヅラしてて朝日浴びながらキラキラ歌いあげるの本当に面白い。


和樹アンダーソン、哀しみと諦めを背負ってるような男。
ダニエルの研究室でばしゃばしゃ写真撮りまくるモンローと諫める和樹アンダーソンが、全然言うこと聞かない暴れん坊のポメラニアンとリード固定してる飼い主みたいだった。
口調と仕草真似するの可愛いね。

松下アンダーソンの声がちょっとハスキーで高音が綺麗で好き。
あとカテコめちゃくちゃノリノリで歌ってて良かった。

松下アンダーソンはポリーのこと本当に心配してる感じ。
出会いほとんど語られないけど、もっと前から知り合いなんじゃないかなって気がする。
和樹アンダーソンはあらゆるものに微かな諦念を感じた。お互いに今の立場になってから知り合った感じ。

 

堂珍ジャック本当に歌が上手い。もちろん何度も歌聴いたことあるけど、あのシャウト系の芝居歌がジャックの存在にマッチしてて非常に好きだった。
トート的な君が望めば現れる的な、概念っぽさが強かった。

和樹ジャックは、血が沸き立つぜ!!!って感じで、楽しそう。
狩りに出かけてダニエルが娼婦と対面してるとき、ステッキを自分の脚の間から出して撫でてて、露骨!!好き!!!

 

モンローはけっこうずっと可愛い可愛いだった。
あのすっぱ抜きが事態を悪くしたわけでもないし、最後まで一貫して記事がいちばんなので、筋の通った男。
そういえば生き残る男として有名な万里生さんなので、命乞いする台詞初めて聞いたかも。

モンローのタイピング、速度もさることながら曲に合わせて細かくリズム取ってて、聴いてて気持ちいい。


スイッチ後のダニエルの目の色が変わって、手術代からぽんって飛び降りるの本当に好き。
そのちょっと前のダニエルジャックふたりでマントばさぁをシンクロさせるところも好き。
あと和樹ジャックがステッキくるくるするの好き

2幕始まりで、すっごい派手な格好してジャックがちょこんって座ってんの可愛かった。ゆるキャラにしたの分かる。


気になったので調べてみたら、アンダーソンっていうウイスキーもあるんだね。
ジャックダニエルアンダーソンなんか関係あるのか、名づけのタイミングで引用しただけなのか。

ホリプロ作品で流れる「今日という日をこの劇場で過ごせたことを……」みたいなアナウンスをまりおくんの声で聴けたの嬉しかったな。