みなも泳ぐ水鳥も

観劇と他の趣味

2020「ダディ・ロング・レッグズ」

ジルーシャが歌い出した瞬間から最後のシーンまで終始泣き笑いで、ものすごくものすごく素晴らしかった。
普段見てるのが力!行動!みたいな作品が多くて、DLLって言ってしまえば小さくて控えめなんだけど、自分の変化か環境の変化か理解が深まってものすごく刺さった。
チャリティーの思想も作中の政治的姿勢も初見時より自分に浸透した気がする。

 

ジャーヴィー坊ちゃまが初めからかなり可愛げがあった。
年寄りだって前提の手紙読んで「なんでそうなるんだ」って呆れつつ面白がってて、ジルーシャの発想力と文章に魅力を感じてるように見えた。
初めは文才に興味を持って、学園で喜び落ち込み日々を送る手紙に心を寄せるようになり、"愛"に想いを馳せて、初めての返答として花束を贈るまでの感情の変化が表情から感じられて、胸がぎゅうってなった。

「他の子のように」とか「知らなかった」の一部だけハモるつくり、ジャーヴィスが手紙読んでジルーシャの悩みに心を寄せてる表現なんだな。
真綾さんと芳雄さんの歌声の溶け合い方が本当に大好き。ハーモニーが溶け合ってひとりの声に聴こえるくらい綺麗。
「他の子たちとは」はまさしく恋のめばえだと思ってるので、本当にきゅんきゅんする。
いろいろなテーマが絡み合ってるけど、ラブストーリーとしても本当に可愛くて愛おしいね。

2年生のロックウィローとの対比で意志を持って対等に振る舞えるようになりつつあるシーンで、ジャーヴィーの必死さと自己嫌悪と成長するジルーシャへの嬉しさがないまぜになってて、切なくて苦しい。

 

ジャーヴィス視点の物語に、チャリティーの葛藤の縦軸を強く感じた。
3度目の出せない手紙に「君に教育や服、靴、全てを与えたダディは私だ」と書こうとしてやめたのは、彼女の思う完璧な"ダディ"ではないという自信のなさと、ジルーシャの友人・ジャーヴィスの前に感謝の壁を築きたくなかったというのがあるんだろうな。
だからこそ小説が売れて返済を受け取ったとき一層自立が嬉しくて「風向きが変わった!」と気持ちを伝えようと決めたんだと思った。

「チャリティー」は自嘲気味に笑いながら涙を浮かべて、成功と自立には心から喜び泣きながら踊り回り、プロポーズ断った手紙読むジルーシャも声を震わせて絞り出してるし、それを読むジャーヴィスは手紙を胸に抱いて上を見上げて震えてるし、最後の手紙書く前に本当に涙拭っていて、舞台上に感情があふれていた。

ラスト、時世に合わせて手を重ねる演出になったんだろうけど、いちばん上を取り合うところにふたりの関係性が出ていて、プラトニックさとともにむしろめちゃくちゃ良かった。

 

御園座千秋楽がジョンのお誕生日。

カテコ第一声が「あ〜疲れた……」だった真綾さん。笑
「そんなこと言う?笑」「それくらい出し切ったってことね!」とフォローしながらめちゃ笑う芳雄さん。
このふたりのパワーバランス大好き。

「4連休も最終日なんですかね?僕ら全然関係ないけど」「そうですね、まあ明日からも幸せの秘密でがんばっていただいて!」「お!いいこと言った!」って感じで綺麗にまとまったところでお別れでした。

 

見ても見ても見足りないけど、とっても心満たされる時間をいただけて本当に幸せでした。

何とかBlu-rayか全編通しのライブ版CD出ないもんですかね。
オリジナルコンビ、またちゃんとやってくれるかな。