みなも泳ぐ水鳥も

観劇と他の趣味

2023年見たものまとめ(4月)

ダブル(配信)
エピソードは原作準拠、会話の多くはオリジナルで漫画で映らなかった場面が中心という作りで面白かった。前半ばっさりカットして多家良が売れ出したとこからスタートだったけど、ほぼ最新回まで追いつく。

特に友仁と九十九さんのふたりのシーンが好きだった。あのシーンがあるから物語と同時進行で友仁の苦悩とエゴが見えた気がした。九十九が言い淀んだ瞬間にすごい顔で見てたのが印象的。

九十九さん元々も好きだけど舞台もすごく良かった。悩みもあるけどある程度精神が安定しているいい男。
あと飯谷めっちゃいい奴。借金するけど、切ないところも多いけど、団体にひとりいると助かるタイプ。英雄さんもきっと特別好きなんでしょう。

ラスト核心つく直前のところ友仁さんの色気がやばくて、告白を受けた原作通りの台詞はごもっともなんだけど、それにしたって酷だぜさすがにと思う表情だった。

始まった地点も関係あるかもしれんけど、玲央友仁さんは穏やかで笑顔が多いお兄さんなので原作友仁よりもっと献身的な感じがあった。
初めて見た舞台であの友仁さんいたらアプローチしにいくのわかる。


ハリーポッターと呪いの子@赤坂ACTシアター
思ってたよりかなり良かった。ハリーポッターシリーズ自体が、勇敢な英雄であり愚かで不器用でもある人たちの代々のつながりの話だと思ってるので、そこが物語の根幹でじわ〜っとしみた。それぞれが消えない傷とともに生きていっているんだよね。

1幕の、愛も心配も本当だけどその結果が暴走になるの、向井ハリーすごくしっくり来た。スマートなヒーローの顔と手探りの父の顔が共存してる感じ。

あと"父"は知らないけど、やっぱり保護者はダンブルドアだったんだなと、そしてその保護者もまた不器用ヒーローなんだよという描写がぐっときた。

とにかくスコピがめっちゃ好き。ずっと可愛い。一言目からオタクだ!そしていい奴だ!ってわかる喋り方。ツッコミもふざけも怒り方もすごい好きだった。

1幕で引き離されたあとのアルスコの階段のすれ違いシークエンスが切なくて好き。ラストのローズの受け方も含めて、照れるところなくふたりの「愛」を真正面からやり切ってるのすごく良いと思った。

アルスコローズデルフィー皆さん本当に素敵だった。こういう作品でないと出会えないこともあるし、有名俳優の親たちと新進の次世代での長期公演、一概には言えないけど、良い企画だなって思ったな。

映画そのままで出てくるダンブルドア・スネイプ・マートルは、見た目も声も「正解」があって大変だろうけど、がっつり寄せてて全く違和感なかった。加恋マートルなんか映画そのまんまでびびった。

冒頭に登場する組分け帽子の存在があまりにもポツネンでちょっと動揺した。

魔法はいろんなパターンがあって、どれもすごい当然みたいにやるから途中から当然のように見ちゃった。個人的には魔法当てられたスコピの一発目の動きがすごかった。映画見てるのかと思った。

 

チルダ@シアターオーブ
しばらくほ〜んって見てたけど2幕の超展開はけっこう好きだった。マチルダの「お話」は身の回りの経験を物語に組み込んでるんだと思って見てたから、本当に超能力なんだ??って驚いた。

タイミング的にジェーン・エアを思い出す。ヘレンと出会ったジェーンとマチルダと出会ったハニー。ジェーンやマチルダは気にすることではないけど、ミセスリードやワームウッド夫妻が何でああなったのかは考えてしまう。

 

ママは他の家族も含めて単純にダンス以外の興味が薄いのだろうけど、「本よりメイク」の刷り込みも強いんだろうなと思った。
パパは異性なのも「天才」なのも理解ができなくて、ああいうけなすようなコミュニケーションしか取れないのかも。だからマチルダには伝わってないけど娘とは思ってるし、家を出る申し出を受けると少し動揺する。

トランチブルは徹底悪役タイプ。小野田さん3期目みたいなハマり方。ちゃんと怖くて話がまったく通じない感じもあってやられっぷりもハマっていて好き。
スクールソング、「F=絵札」「H=叡智」「N=忘れえぬ(みたいな)」「Q=探究心」あたりがすごい好きだった。

2幕頭のミスタータイム、手挙げさせたら1階しかあがらなくて「2階3階は参加する気ないのかぁ?」って言われたので慌てて挙げた。笑
「聞こえるかな」って言いながら2階の人当てたんだけど案の定名前聞き取れなくて、「ん?ちょっと誰か中継して中継して」って中の人の可愛いとこ出てて可愛かった。
あとそのあとのラベンダータイムがめっちゃ好きでした。2階のお子さんがめちゃくちゃハマってゲラゲラ笑っていてよかった。

 

幾つの大罪@EXシアター
すこぶる戸次作品の味付けで、私は好きでした。あれだけの説明台詞を説明だなって思わせることなく語らせてなんとなく理解させる戯曲とお芝居はかなりすごいのではと思った。

前野さんご指名なのはめちゃめちゃ理解だった。あの雰囲気と声が絶対必要。それぞれ見たい感じのキャラクターで楽しかったです。あの感じのシゲとても好き。

トニーさん、気絶して物語から離脱した時点でそうだろうなと思ってたけど、あの声色でカットインしてくると物語がぐるんって反転するような威力がある。

 

神崎のサブ人格が大谷、その大谷のサブ人格たちが6人という理解。
大谷の自己対話のところで団栗が「俺らにも深層心理とかあんのかな」って言ってたのが大谷にかかってるのかなと思った。
ただそうなると事件の詳細はどこまでが現実なのかという話ではある。6人の犯罪歴は全て大谷の創作というのが事実であれば、大谷の犯行と動機も神崎が生み出したもので、現実に起きた事件の詳細は劇中では語られてないのかな。

大崎の根源が嫉妬と暴食だったように、神崎の根源は憤怒だったということで、両親がそれぞれ誰かの勝手に巻き込まれて死んだ話は事実かな。そもそも七つの大罪を軸とした7人格が生まれるのだから神崎が精神系の学者というのも事実な気はする。

 

有栖の言い分に対する浦洲の批判、まさに今の戸次重幸の意見なのではと思うとなんかぐっときちゃった。
大谷が同性の太客にアプローチされて受け入れたのを受けて「ビーエルゥ」って言うのは、なかなかこの辺りはまだ解像度が荒いなと思った。


カテコ、わたしの後ろにふみかちゃんの認知オタクの方がいたみたいで、最後のカテコで明確に指差し食らってびびった。

パンフで、波岡さんがオファー受けたときちょうどそこに音尾さんいた話と、浦洲さん52歳役で「ほぼ実年齢なので無理のない設定のはずだけど50歳に見えないから」って自覚してるところ好き。

 

オペラ座の怪人@大阪四季劇場
台詞少なめで歌で展開してくので、歌詞聞き取れないマンはけっこう中盤まで「曲は分かる、話が分からん」となっていたんだけど、ファントムの仮面外れたくらいから唐突に輪郭が掴めて面白かった。

ラウルの方のお顔立ちと体格が恵まれすぎていて\\子爵様//って感じの説得力すごかった。ずっとかっこいい。

支配人ズが好き。この物語であのキャラクターで2人とも普通に生きてるのずるい。

そういえばジェーン・エアでウェディングベール抱き抱えるところファントムみたいって言われてたのやっとわかった。

 

ルーザーヴィル@御園座
島くんと鳥居くんを見に行って、ハーフアップちょっとインテリヤンキーお兄さんのじゃるさんに恋に落ちて帰って来た。群れのボスが窮地に陥っている曲の後ろで踊るじゃるさんがすさまじくかっこよかった。柴原さんと二人でエリザな取り巻きズ。

Emaさん、ちょっと外れてるクイーンビーの友達可愛かった。
マーヴィンは本人のキャラクターと近いふわふわニコニコくん。ソロはほぼないけど恋に落ちた瞬間の歌唱が素敵でした。昔OOPARTSで見たときは綺麗だけど声細めと思ってたけど、年々ハリのある声になってた。今後もいろいろやってほしい。

鳥居くんオペラなしで一発で見つかる目力。事務所のオフショだとスン…のお顔の印象が強いけど、いろんな表情見れてよかった。いじめっ子とパーティーのシーンが好き。

たびたびのマイク演出と背景のディスプレイは意図が分からず。歌い始めのメタ演出とか歌詞出すのとか、ミュージカルという形態を信用してない気がしてあんまり好きじゃなかった。

カテコでじゃるさんとたいせいくんがわいわいしててありがた可愛かった。良いカンパニーなんだろうなというのが端々から見えてよかったです。

2023年見たものまとめ(3月)

伊礼彼方 ミュージカルの軌跡@今池ガスビル
盛りだくさんでめちゃくちゃ面白かった。歯に衣着せないトークにワハハ!ってなりながら、本当にそうだよなあと思うところも多かった。
クリエイトできる環境づくりをっていう思いが興味深かった。

北斗の拳のために筋トレ始めたら、その後の作品でも声が楽に出せるようになった。キングアーサーではセットが可動式で懸垂するとこがなかったから懸垂機差し入れたらアクロバット隊に大人気!こんなにウケるならと主催が半分持ってくれたらしい。

ランスロットの死の場面で後ろにずっとメレアガンが見えるのじわじわきてたので、きつい体勢で動けないのに目の前でイチャイチャしやがってってキレてたのめちゃくちゃ笑った。

金も地位も権力も持ってるのに何も持ってないはずの奴に全部持っていかれてギィィってなる男が続く伊礼さん。デュークすごく楽しみ。
オフレコの話したときに微笑んでシーッってしたのが威力ばつぐん。キングアーサー終わってすぐ髪切ったそうで、サラサラの前髪を頻繁にかきあげるのも強かった。

 

RENT@シアタークリエ
初RENTでした。すごく面白かった。再演が続く作品は強度が段違いだな。こんなにしっかり群像劇のミュージカル初めて見たかも。
あとみんな本当に歌が上手い。歌もダンスもお芝居も上手い俳優さんがこんなにたくさんいるのありがたいなあ。

カップル文化なアメリカが舞台で、モーリーンにフラれた以外の恋愛要素がないマークが語り手なのが良かった。周りを巻き込んで動かすタイプのアーティストじゃない彼の視点で進む構成好き。
でかくて不安定な甲斐ロジャーと対峙すると見下ろされる小柄な花村マーク。

アパートに訪ねてくるコリンズかっこよすぎる。ずっと大人で素敵。
百名エンジェルはキュートでクール。キラキラなスター性も等身大の魅力も聖的な存在感もすごく合っていた。

モーリーンジョアンヌのハイパーつよつよカップル大好き。2人の曲とシーン全部好きだった。元カレ今カノのタンゴも好き。

あとクリスマスの歌最初に歌い出す売人の人がかっこよくて他の役も目で追っていた。

そんな中でもベニーがめちゃくちゃ好み。横恋慕の中でも非常に好きなタイプの男。

フルキャストオーディションでこの作品が続いていて、これだけの俳優が集まるの本当にすごいことだと思った。他の作品も適材適所で実現していってほしいよ。

あとよく言われることだけど、1万超えのチケット買ってタブロイド紙風のパンフに2000円払ってこの作品を観劇している私は何なんだって考えてしまった。ミヤシタパーク出来たての渋谷で来日版やってたの皮肉がすぎる。

JB以降花村くんのカテコ挨拶のファン。絶対手洗いうがいをおすすめしてくれる。2回目に呼び出されてモーリーンの客煽りとかやったあと、「ね、本当に嬉しいことなんですけど、宴もたけなわですので、夜もあるし、このくらいで失礼します」って言って終わらせるの好きすぎた。

 

ジェーン・エア

north-th-east.hateblo.jp

 

 

バンズヴィジット@刈谷
深夜にやってる知らない外国の映画なんとなく見てたら意外と面白いみたいな感覚。とにかく音楽隊の皆さんが入れ替わり立ち替わりしながら生演奏されてるのがかっこよくて素敵だった。マルチリードって当然のようにいるけど、クラとフルートって全然違うだろうにどうなってるんだっていつも思ってる。ダルブッカの方の手さばきオペラでガン見していた。

お話は何も起きないというかあんまり揺さぶられるポイントがないんだけど、少し前に盛り上がった「癒し系」概念みたいな、しんどくなくて欲しいところにボール投げてくれるみたいな作品。

全部持っていくこがけんかっこよかった。思ったより全部持っていった。
あと永田くんの弱気な若者めっちゃ好きでした。あの甲高くてへにょへにょなのに2階席まで届く声どうやってるんだ。
言語の演出すごかった。それぞれが英語(の設定の日本語)以外で喋ってる内容はまったく説明されないんだけど、分からないはずの内容だから理解できなくていいし、それでも文脈と語気で何を話してるっぽいかは伝わってくる。観客を信頼してないと難しいのではと思った。

最後突然カーレドと結ばれたのが本当にわからなかった。自分の行いによって一夜の淡い憧憬が拒絶された女と決められた結婚が待っている遊び人の男がなぐさめあう的な?それにしたってほとんど喋ってすらいないのに……。

カテコ挨拶で「また皆さんにお会いできる機会があれば」とか「(席空いてるけど)初演はこんなもんなんです、再演になると即完するようになるんです」とか言っていて、主催的にも前向きになったのかな。

 

ジキルアンドハイド

north-th-east.hateblo.jp

 


太平洋序曲
すごく好き。開国をめぐる中心と周辺の物語。すごく雑にくくると戦国鍋TVとかEテレの歴史番組みたいな質感の作品。
まずセットと照明がすごく美しい。スライドする板に乗って移動しているらしく、突然現れたように見えるのがすごい。


プリンシパルとアンサンブルが固定役か否かの違いしかなくて、いろんな人のナンバーがあるのがすごく好みだった。公家の染谷さんの公家訛り、公家っぽくて好き。
将軍、特に後半かっこいい。完璧な為政者ではないけど現実を見てる人として描かれている。
これがアメリカで生まれていることに思うことがないではないけど、出てくるどの国も戯画的なので文句も言いにくい。Please Hello楽曲としてすごく好きだったので拍手したい気持ちと、いやめっちゃ砲撃されとるよ、という気持ちで複雑だった。

固有名詞を避けてるんだろうけど、南国の武士って薩摩とイメージ結びつかなくてちょっと面白くなる。アロハ着た西郷さんの図が脳内に現れる。

どんどん西洋化されていく香山の横で同じように人生が進む万次郎にまったく台詞ないの厳しい。もう一度交わったときには道が大きく違っている。海宝立石はお顔立ちとお芝居のトーンが似ている気がした。ペリーにぶちかます万次郎とそれにビビる香山、Poemsで仲良くなる2人がキュートで、なおのことラストがつらい。

木の上の少年好きだった。おもしろポイントが多くて可愛らしいし、ああいう周辺の人たちのエピソード好き。
アナスタシアが中止になり、3年越しの念願の山本耕史でした。扇を扱う細かい所作が美しい。鮎びちびちさせたり、ペリーにちょっかいかけたり、無の顔でふざけてるの好き。明治天皇として登場すると、声ががっと支配的な響きを帯びるのがさすが。

俺らがされて嫌だったことをよその国にやればあいつらみたいになれる!という内容を、よく響く支配的な山本耕史の声となんやわからん未来っぽい楽曲に乗せてしゃにむに踊って終わるエンドキツすぎた。あの嘘くさい"未来"感は皮肉だって自動的に思っちゃった。

2023「ジキルアンドハイド」

絶対に合うことが約束された好きな俳優でこの作品が見られるの本当に幸せだった。

 

柿ヘンリーの心開いた人に向けた甘えてる喋り方好き。

前半は、理事会で余裕がなくなると攻撃的になっちゃうタイプに見えた。それでいらないことまで言って、味方のはずのダンヴァース卿にも眉を顰められて、手を振り払っちゃってまずいなと思ってる顔してた。

大楽は、♪知りたいの時点で父を救いたい気持ちで覚悟がギラギラにキマっていてそのまま理事会に突入するので、最初から「理解しない連中」への敵対心がすごい。義父へもある程度の感謝と敬意はあれ、基本的には同じと思ってる気がする。

パーティー中、ストライドとの間に割り込んでくれた友人たちにも仏頂面でグラス返すし、ジョンとダンヴァースが人間性云々の話してるときも全然納得いってない顔してる。世界が父とジョンとエマとプール、あとそれ以外みたいな認識。

どん底、ヘンリーは仏頂面しながらルーシーのことちらちら目で追っていて、意識してんな〜って感じ。かっこつけてるだけじゃなくて、本当にああいう場所苦手ではあるんだろう。

ハイドの誕生は、カメラ切り替わった映像を見てるみたいな鮮烈さ。何回見てもハイドに切り替わる瞬間にびくっっとする。

1幕ラストはタイミング的にジキル家を出たルーシーを追っていったら、らんらんランデブー中の司教見つけたのかな。ルーシーに迫ってるところに邪魔が入ってすごいイラッとした顔してた。

対決はとにかくすごい。右と左で人格が切り替わる職人技。ほぼ別人のデュエットみたいだった。

対決も凄まじいんだけど、ラストふたりが曖昧になっていくのも好き。私を見てって頬に触れられた途端みるみる泣きそうな顔に変わっていく。

あの柿ジキルからあそこまでルーシーに執着するハイドが生まれるのなんだろうと思ってたんだけど、ハイド的には優しいジキルに光を感じたルーシーが気に入らないのかな。柿ハイドはジキルと完全に独立した自我を持っていて、自我の確立のために「あいつと俺で何が違うんだ」ってルーシーに詰め寄っていた印象だった。

 

石丸ジキルは生真面目で口下手な科学者。真剣に説明してるのに割り込まれたり馬鹿にされたりしてムッとしてる感じ。

アターソンとはずっと友達だけど、ストライドの間に割り込んでくれた彼らともそれなりに仲良くやってそうだし、エマにもルーシーにもキザなことできるタイプ。
変身はじわ〜って印象だった。ばちん!って切り替わるかっきーも好きだけど、じわじわも中から這い出してきてる感じで怖い。

ハイドは剥き出しの欲望って感じ。ヘンリーが心のうちで思ってたことを高笑いあげながら全部やっていく。元が生真面目な人ほど逸脱している姿が怖くて気持ち悪い。

最後苦しいようなほっとしたような表情で心にきた。れかエマの子供を守る母親みたいな全敵視の表情もつらい。


カズアターソン、全方位型キラキラ生徒会長すぎる。真面目で優しい。
婚約パーティーの花火前にアターソンが戯れでヘンリーのこと指で撃っててモテ仕草だなと思ってたんだけど、ラスト思い出して震えた。

どん底の上川ジョン、一軍モテ男の権化みたいな振る舞いだった。楽しく盛り上がって、女の子が絡んできたらリアクションして、無碍に断るヘンリーの態度にごめんねってウインク。ヘンリーにルーシーの帽子被せるあたりは本当に仲良さそうで可愛い。カズアターソンよりちょっと悪いこともしてきた雰囲気。

 

理事会メンバーへの愛着は回を追うごとに強くなっていた。俳優さんが本当にみんな良い。どんどんいなくなるくだりはテンポよすぎて心の中でゲラゲラ笑っていた。
ストライドが哀れですごい好きなんだよな。ストライドってエマへの執着以外はまあそこそこかっこよくないです?畠中さんがかっこいいだけかもしれんけど。


玲奈ルーシー、強気そうな登場に反して、表情と口調がずっと心許ない少女みたいでつらい。最期、途中までぼんやりしてた正体に♪同情 愛情〜で気づいたのかな。

真彩ルーシー、ショーが男前でかっこいい。
「あたしがあんたの役に立つこと言ったの?」のニュアンスがなんかめちゃくちゃつらくて涙出る。

玲奈ルーシーより恐怖を感じる閾値が低いというか、身を脅かされる状況に笑顔でしか対応できない感じがつらい。
♪私は誰、先生に会って世界が広がった結果、自分のいる場所が不本意だって気づいてしまった曲ですごくつらい。真彩ルーシーはそれまで理解していなかったように見えるので、なおつらい。

罪な遊戯、ハイドに惹かれてしまうとかのレベルでなく1音目からめちゃくちゃ欲望の歌ですごかった。

識字がままならない中で突然渡された手紙読む姿がものすごくつらくて、ジョンはロンドンの外まで送ってくくらいしなよばか!!って思っちゃった。

手紙びりびりに破られて絶望した顔がつらい。真彩ルーシーは最後までハイドが何だったか気付いてない気がした。最後愛する人の名前呼んで息絶えただけに見える。

ダンヴァース、ただただ巻き込まれ義父で不憫。

未来ある若者だし娘婿だから親身になっているが、(感じ悪くて旧来的とはいえ)理事会メンバーにあの調子で楯突くのに同席してるの心が痛いな。

 

Wジキルの楽日も観劇できました。

石丸ジキル、代替わりのご挨拶がシンプルでさらっとしていて、すごく素敵だった。ご挨拶のあと玲奈ちゃんから花束贈呈。最後の公演拝見できてよかったです。

柿大楽、HP0のやり切った顔で全身でガッツポーズして出てきて涙ぶわってきた。
しっかりとした代替わりのご挨拶して、「いつとは明言しませんが必ずお会いできると信じておりますので、今からジキル&ハイド貯金などを始めてみてはいかがでしょうか」周りニコニコ「けっこう貯まるよね」

その後ガンガン拍手煽って、「1階!」「2階!!」「3階!!」「OSAKA!!!」ってロックスターだった。

追い出し曲のあと最後に出てきてエマとハグ!ルーシーとハグ!!ジョンともハグ!待ち構えてたダンヴァースとハグ!プールともハグ!!離さないプール!!!「こういうことしてるから遅くなるんです!」
最後パパがエマと腕組ませてルーシーも呼び止めて3人で手繋がせて退場でした。

最初から最後までずっとすごくて熱に飲み込まれた大楽でした。終わらないでほしいけど主演変わらず再演が約束されているってすごく心強い。また次の機会に。

 

2023「ジェーン・エア」

幕がなくて開演前から荒野のセットがむきだしの状態。オケピにオーボエの方だけ先に入っていて、たまにリードで鳥のさえずり入れてて素敵だった。

前半はすごく静かで緻密で演劇的な雰囲気で展開されるので、ロチェスター卿の登場が鮮烈。ジェーンの中で彼の解像度があがっていくのに合わせて、可愛げとかダメさが出てくる感じがした。

初日、明転してカテコ始まるときに神田さんが小さくガッツポーズして芳雄さんと春風さんが握手してたのが印象的だった。序列なく真ん中にぐちゃって集まるの今回のカンパニーって感じで好き。

子役さんが最初から最後まですさまじい仕事量で、もちろん他の作品でもそうなんだけど、完全にカンパニーの一員だった。冒頭しばらくヤングジェーンのの役割が大きすぎるし展開がえぐいので負担では……って思ってたんだけど、アデレードでバランス取る感じなのかな。引きで見るとヤングジェーンを囲んで舞台上の全員で合唱してる場面がいくつかあって、起きている事実よりは優しく寄り添ってくれてるように見えた。

どちらの役をやっていても、萌音ジェーン/ヘレンは心の底から神が救いで、初めから周りの大人とは違うところを見ている。屋比久ジェーン/ヘレンは信仰によってなんとかこのクソみたいな世界を生き抜いてる。屋比久ヘレンはジェーンより早くそのように生きることを知った子って感じ。

長年の刷り込みもあって、萌音ジェーンだと理屈じゃなくこのふたりはそうなるだろうなって思っちゃうんだよな。彼を救いたいと思ってしまったから、に尽きる。

卿が膝を折ってジェーンにすがりつくシーンで高さがほぼ同じになるの好きだった。萌音ヘレンはヤングジェーンとほぼおんなじ大きさだし、屋比久ジェーンはロチェスターの中にひとり入れそう。
萌音ジェーンは見慣れのパワーで何となく見れてしまうんだけど、屋比久ジェーンと並ぶとエドワードが何もかもふたまわりくらいでかくて、そんなバランスで大きな秘密を隠したまますがりついてる姿がちょっと怖さすらあった。

 

この人何……?からなんなんだこいつ!!!を経て、全部許してしまうのが芳雄ロチェスター。変わった出会い方をして不思議な語り口で心乱される年上の男性だったのに、求婚で膝立ちですがりつくようになるの、好きなダメ男すぎる。恵まれた家柄に生まれながら愛されてこなかったゆえに、愛し方が分からず愛されている自信が持てず、権力勾配のある年下の女性にけっこうなことをしでかす男たち、ジョンのラインナップ。

ボヤのあとの「なんだ、行くのか?」の言い方が人付き合い上手くなさそうな感じが出てて好き。このあと送り出して部屋で突っ伏したり泣きながら寝っ転がったりしているの、過去の悪夢に引き戻されそうになった辛さと、救ってくれる人を見つけたかもしれない嬉しさと、上手く伝えられないもどかしさが同時に溢れてきたのかな。

2幕冒頭手当てしたあとのジェーンの部屋での会話がめちゃくちゃ好き。あんなに優位に立って会話進めてるシーン珍しい。先のこと思うとくっそ〜こいつ!!!ってなるんだけど、好意を持ってる年上の相手にあれされたら心乱されるよ。

アデール母の曲の音域が好き。今作女声っぽい歌唱がいくつかあって新鮮だった。

「私の名前を呼んでくれ」も「君の望むどこへでもいいから連れ出してくれ」も切実な心の叫びだよなあ。過去にしばられて進めなくなったところにすごく波長の合う人が現れて、少なからずお互いに良く思っている状況となると、強く糾弾はできない。自分が大人になればなるほど良く生きられない人が刺さる。

ただ、エドワードひとりで背負うべきものではないけど、決して恵まれない人生を送ってきた年下の女の子に寄りかかるにはエドワードは大人すぎる。相手が魂の片割れでよかったね。

自分の不誠実で一度彼女を失い、命を張って過去を救おうとしたから彼女へ声が届いたっていう話かなと改めて思った。「俺のジェーン」「心を俺にくれ」「俺のものだと信じさせて」って言い続けていたエドワードが、再会したときに「仲間はずれにされてないか、ドブに落ちて死んではいないか」ってただ身を案じてた言葉が出てくるの、彼の成長というか考え方の変化が感じられて好き。

ラスト目を開いた瞬間に溜まっていた涙が流れ出すのを見た。

 

ここしばらく春風さん拝見するたびに本当に好きな役だったんだけど今回もすごく好きだった。最後ミセスフェアファックスがハグするところが涙腺決壊ポイントでした。

中井さんの歌声の美しさに打ちのめされた。シンジュンは別に悪い人ではなく思想が違う人なんだろうけど、歌うますぎるゆえにちょっと怖い。

 

妻が装置でしかないのはちょっと寂しかったかな。金のために知らない妻をあてがわれたエドワードと同じように、父に結婚させられたのであろう彼女の背景をもう少し見たかった。

過去の説明で何となく「父より兄の方が先なんだ」って思ってたんだけど、その順番だからエドワードの元に大金が転がり込んでるのか。自分を売り飛ばした権力者の金を得るのがせめてもの救いなのかどうか。

リード家は決していい環境ではなかったけど、結果的に教育を受けられたことがその後の人生につながっているの難しい話だ。
ミススキャチャードがミセスリードみたいに意地悪でやってるわけじゃなくて己の信仰の結果であり生徒を思っていないわけではないところ複雑で好み。出発を止めるのだって彼女の価値観では良かれと思ってなのだ。

「結婚するって!!」ってざわざわしてるときにベッシィがグレースの肩ぶんぶんしに行ってるの可愛い。壁を感じる人だけどそれなりに仲良くやってそうで良かった。

打撃を受けたあとジェーンに慰められてちょっといい感じになって手握ろうとしたときにロバート入ってきてぱっと離れるとこ好き。あの家の使用人たち、主人が家庭教師のこと好きそうなのなんとなくわかってるよね。気まずかろう。

ロバート、アデールの妖精ごっこのとき主人が見るからにイラついてるの気づかずに笑顔で説明してるの可愛い。ミセスフェアファックスはエドワード出てきたときから小声で注意してるのに。

初めは老栃が折れたら呪いが、とか言ってるの冗談半分みたいな感じなのに、いざ本当に折れたときに「え、ほんとにやばいのでは……」って表情になる使用人たち好き。ランドマークってそういうところあるよね。

2023年見たものまとめ(2月)

ボニーアンドクライド@御園座
初宝塚!面白かった。楽曲はさすがの天才ワイルドホーンだし、演目もかなり好み。

最後は唐突な幕切れで、かつフィナーレに馴染みがないのでしばらく何が起こってるのかわからず混乱しながら見ていた。
初めは生きるため抜け出すためだった悪事を繰り返すうちに、たがが外れてしまうカップルの話。そのままならなさも含めて好みだった。

犯罪を繰り返すうちに英雄視され始めて、本人たちも高揚してきて戻れなくなって、でも末路もうっすら分かっている。ヒーローとしてもてはやされるカップルがトップコンビな構造が現実と物語でリンクしていた気がする。
兄夫婦が好きでした。冒頭の美容院の曲が好き。ブランチの方歌うっまい。
生まれた環境から逃れられない、というか家族から逃れる気もない兄、神は隅々まで見ておられるのか、本当に?みたいなのをずっと考えさせるふたりだった。

子役を大人が演じるみたいな趣向ではなく子役としてやるっていうのどんなだろうと思ってたんだけど、普通にすんなり子供時代として見られた。ふたりとも可愛くて素敵でした。

 

AGRImanSHOW@サンシャイン劇場
非常にリーダーらしい全部乗せのショー。脈絡消滅情緒めちゃくちゃな構成も面白い。

入場直後からじゃがいものプレゼント。めちゃくちゃ笑ってたけど、ちゃんと作中とリンクしていて素敵でした。

短い一人芝居がいくつかあって、父ひとり子ひとりの作品のパパの顔が素晴らしく良かった。あとエンディングの紙吹雪演出に、ロマンティックリーダーの本領発揮。

生身リーダーももちろん良いんだけどブリッジのVTRがかなり好みだった。昔好きだったコント番組思い出す感じ。


桜姫東文章@とよはし芸術劇場
元の歌舞伎は分からないけど、誰かひとりがクソというより、メンツを立てることを一義にしている武家社会がクソ、悪事を働かないと生活できない社会がクソ、その中でやはり女がモノとして扱われるのがクソみたいな印象だった。
全編抑揚を排したせりふ回し。私は好きだった。ただ完全にフラットな人もいればけっこう感情の起伏のある芝居の人もいて、意図なのか結果なのかわからなかった。

2幕頭の非人やってた方に心掴まれてそれ以降目で追っていた。あと松井源吾とお十も好きだった。松井殿まあまあ悪い方の人だけど、ずっと軽くて火に当たりながら「おれ散々じゃね?」って言ってんの憎めなくてたしかにそれな〜ってなった。

高僧の衣装がごっつい毛皮なのがいい。名実ともに生臭坊主に身を落とす男。
でも彼だけが嫌なやつな描き方じゃないのは好みだった。言ってみたら不憫な話だし子供も育てるし、ただ心の奥で女を下に見て私はこんな可哀想だから許されるだろうとも思っている"普通の男"。
権助も生きるためにいろいろやってる小悪党って印象。なんで好きになる?って思ってたけど、あの性格の桜姫が周りから隔離されて育てられてたら御簾ぶち破ってきた男好きになるかもかな。久々に再会して生きる力強そうだから着いていくし最後事実を知ったらああするかもなって納得感があった。
桜姫と権助の絡むシーンが舞踏な2人なので綺麗で面白い。あと川で袖引っ張って落ちる流れ見事な落ちっぷりだった。

寺子屋のくだりがいちばんキツかったな。お茶屋ではまともに見えたお武家さんが謎理論ぶちかますの、身代わりの話もあるだろうけど不倫の噂が立った時点で事実がなくとも面子が潰れることが問題ってことでしょう。


キングアーサー@兵庫県立芸術文化センター
全体的に何の話なんだと思ったけど、嫌いではない。曲がポップでトレンディ。
無邪気な青年が王の器となっていく物語に最もふさわしい男、浦井健治。最初の対メレアガン戦で覚醒した剣さばきに切り替わったところ鳥肌たった。
メレアガンはやばすぎた。歌がうますぎる。事前に歌番組で聞いていたハイトーン曲が早々に歌われて、2幕にまだ更なるハイトーンがある。

伊礼メレアガンは絶対に王の器ではない。だからこそコンプレックス刺激されてモルガンにいいように転がされてグィネヴィアにすがりつく様が哀れだった。

伊礼メレアガンは哀れなら、和樹メレアガンは可哀想だった。ひたすら真面目に努力してきたのに横からかっさらわれて「そこ俺の場所だったのに!!!」って泣きながらキレてる子だった。ちゃんと任命されてたら頑張って国治めてたと思う。

モルガンに乗っ取られたまゆこグィネヴィアがめっちゃかっこよかった。モルガンと完全にシンクロしてて素敵。

マーリンとケイさんの可愛いおじさんチームかわいくてずるかったな。キュートで憎めない浮世離れした妖精さんがめちゃくちゃ上手いソロ曲歌い上げる。

鹿と狼、侍女の方をはじめとしたダンスチームの素晴らしさたるや。

メレアガンの2曲目なんであんなに爽やかなんだろ。そんなライバル校に負けたサッカー部みたいな。

和樹-もっくんの組み合わせ見ると、伊礼-壮ちゃんの体格差があるのに同じマント着たくらいで騙されるグィネヴィアしっかりしなよって思うな。

鳥形態のマーリンが飛び去る先に座ってたんだけど、ちゃんと音が前から飛んできて後ろに回り込んでいったのすごかった。

楽曲の雰囲気も含めて新感線歌モノの味がした。主演が健ちゃんなのでさらに。曲はかっこいいし悪役はどんどんメイク濃くなっていくし様式美で楽し〜〜ってなれるタイプの作品でした。

 

ドリームガールズ

私たぶんショービジネスものが好きなんだな。ショービズだけどショーアップすぎない演出が好きだった。盆がぐるんぐるん回る。バックステージものと盆の相性の良さ。


全員歌うまいしお芝居もすごい。

spiさんのお芝居が好きで、それを十二分に堪能できた。激昂したときに声のトーンがあがるのが好き。人に向ける用の作った笑顔が好き。アポロシアターで既にエフィの肩抱いてて、こいつ……!!!自分の魅力を全活用する男。

JBではニックの野心を抱えてままならなかったところが好きだったんだけど、カーティスも野心ギラッギラで、そしてそれを実現する才能がある。
こちら向いて喋る会見のシーンで、上の席から見ていてもカーティスの目線がばしばし飛んできた。JBのカテコでもそういうことあって、見てる方向の人全員に目が合った!って思わせる類の人かもしれない。

とにかくSteppin' To The Bad Sideがやばかった。一瞬で空気が変わる。

ツアー中に大揉めしてるときにエフィがお腹さすってるのに気づいてつらかった。あそこまで精神が不安定だとグループ運営に支障をきたすのも事実だし、悪いのはカーティスなんだけど、その後でディーナも結婚してるんだよな。

1幕終わりのエフィの絶唱に向けた観客の拍手が、新生ドリームズの登場に吸収されていく演出がえぐい。

すがられる男だったカーティスが2幕でディーナにすがるの、めちゃくちゃ好き。彼にとってディーナはミューズで特別で大切なんだろうけど、ミューズだって人間だし自分の意思を持っているんだよ。

最後の会見、リードボーカルの夫でやり手な有名プロデューサーが離婚と解散を報告して涙ながらに思いを語るのって、現実でもそこそこ評判になるだろうなと思いながら見てた。上手く振る舞いながら歌唱の中で内心の後悔がにじむの好きだった。

カバーで原曲を塗りつぶす戦略は1幕のキャデラックのリフレインで、それが完全に道を違えた瞬間だったんだろうな。

悪になるって覚悟決めてやることはラジオDJに金ばらまいて曲かけてもらうことなので、それ別作品ではポジティブに語られてたぞと思ったりした。
ラストライブで3人で歌う曲、さよならの向う側みたいな曲だなと毎回思っていた。


お馴染みの方も初めましての方も皆さん配役が適材適所だった。
saraさん、可愛らしいけど台詞の声が意外と低めでコメディセンスが好き。スターにメロメロになってたティーンの頃から、グループの形が変わっても仕事はきちんとやって自分を大切にしない男に毅然と迫るかっこいい女性になるまでずっと素敵だった。ジミーに激ギレする曲の迫力が好き。
あと不満を隠さないエフィに「私と一緒なのに嫌?」って聞く台詞、3人の中での彼女のポジションが感じられてすごく好きだった。仕事をきちんとやる人。

村川さんもめちゃくちゃソウルフルでかっこよかった。カーティスにすがりつくとこのキツさも、再起後のシャキッとした感じもすごく好き。

ただ私は昔から村川さんのお顔がかなり好きなので、ビジュアルがどう歌がどうというところだけは最後まで飲み込みきれなかった。めちゃくちゃ可愛いやろがい。そう思って見るものなのはわかってるんですが。

ディーナがセンターにいるべき人なのも最初からそう見えているんだけど、「私みたいに歌えない」ことないのも知っているので、そこは難しかったな。

 

どうしてもJBのこと考えながら見ちゃうんだけど、ほぼ同時代の話なのかな。
R&Bのカウンターとして活躍せんとするイタリア系白人グループの横で、黒人歌手の活動の場を広げようと様々に手を尽くすビジネスマン。

2023年見たものまとめ(1月)

チェーザレ明治座

2023年観劇初め。オリジナルミュージカルの中では好きな方だった。このくらいスケールでかい話が好きなのかもしれない。教皇選の権力闘争が根本にあるけど、メインは学生のお話なので見やすい。
大輝アンジェラ、ふわふわ天使髪が新鮮で可愛い。
ダンテのシーンが藤岡正明劇場だった。別の時代の人だからスポットの登場なんだけど、いる意味がわかる。ダンテとチェーザレの精神的対話シーンがたっぷりあるのは原作準拠なんだろうか。とても見ごたえがあってありがたかった。
親世代がすさまじく強い。特に岡様が歌い出すと空気が変わる。俗にまみれたザラっとした別所さんと綺麗な(だけではないだろうけど)メディチの今さんも声でキャラクターが見えて面白かった。

終演後にケンチさんのスペースであっきー藤岡さんと歓談してるの聞いて、LDHオタクのわたしが泣いた。わあわあ喋って「こんな性格だからEXILEにもCHEMISTRYにもにもなれなかったんですよ」って言う藤岡さん、鋭角すぎて誰も正解の反応できない。笑

 

エリザベート@博多座

north-th-east.hateblo.jp

 

東京ラブストーリー

歌とダンスがかっこよかった。曲がかっこいいっていうのは正義だな。年明けからオリジナル、超再演もの、オリジナルと見ているけど、リプライズあるとミュージカルって感じがする。ダンススキルで固めただけあって、後ろのパフォーマンスが軒並みすごい。

リカさとみの旅立ちの曲と尚子のソロがすごくよかった。もともと設定変えてるんだし、女性陣を軸に原作にこだわらず書き直した物語が見たかった。
水の合わない国を出る行動力はあるのに、地元志向の男に生き方否定されて都合よく去ってあげるリカと、長年アプローチしてくる割に別の女に構う癖をやめられない男から離れたのに別の男の"待つ女"におさまるさとみの話を今やる目的は何だったんだろう。途中で別れたカップルも最後完成したカップルも相手を選んだ理由がまったくわからず、世の中のラブストーリーがメインカプのままくっつくか、本命も対抗馬も選ばずに一人前に進む話ばっかりなのは理由があるんだなと思った。

ただ、チャラ男と強いキャリア女のカップルが好きなので、三上・尚子カップルに関しては強く言えない。

 

キャストはきっと海の方が年齢的にリアルなんだけど、リアルな20代がこの物語演じるといろいろ気になってしまうんだろうな。空の方が芝居の貫禄も込みでファンタジーというか"お話"として見れた。お芝居の安心感ももちろんあるんでしょうけど、正直社会人3〜4年目には見えないところがこのなんとも言いがたい物語を薄めてる気がする。いろはふうかだと、うちの子に何してくれてんねんって気持ちになるので……。

龍臣くんのお芝居が好きだった。ふうかいろはは可愛くて歌が上手い。旅立ち曲で並んだときの魂の双子感が強くて、ふたりとも変な男たちから守られろ……って念じた。あっくんさんはすさまじく顔が良くて、チャラっとしたキャラクターが非常に合っていた。

廣瀬三上はちょっと引くくらいかっこいい。56人でバチって廣瀬三上に視線もらって早々に57人目になっちゃった。海三上はまだやたら距離近い人って言えなくはないけど、空三上のあの距離の詰め方はそりゃあんな色気爆盛りで迫ってるの見たらさとみだって怒るよ。

リカとさとみ、ドラマ版準拠っぽいのは空なのかな。ねねさとみは確かに恋人の幼馴染にいてほしくない感じだった。

ワッハッハの歌、柿カンチが歌ってるとかなりシンバ。
柿カンチの「器用に生きろよ」はちょっと冗談めかした軽口みたいだった。それはそれで何のつもりなんだとは思うけど、あの流れで最後に真剣にアドバイスされるときつすぎるので、こっちの方が好きだったかな。

達臣カンチが幕開けからすごい涙目で、最後まで見てラストと繋がるからなんだなって納得したんだけど、それはそれとして寂しくて普通に泣いてたみたいで可愛い。

空カテコ、最後にもう一回呼び出されてしばらくして準備できたかっきーだけ登場。誰も来ないから不安そうにきょろきょろしながら珍しくひとりで投げキッスとかしてたら、出てこようとしてた廣瀬さんたちが止まって袖で見てた。「なんでひとりにするんだよ!」って怒ってて可愛かった。

どっちも俳優さんたちはとても良くて、見にきてよかったなとは思ってる。
古い名作漫画を題材に持ってくるなとは言わないけど、今の時代に今の俳優で舞台化するんだから、わざわざ持ってくる意義みたいなのは見えてきてほしいよ。

そういえば、元は制作発表で歌ってたMetoo曲がテーマの軸だったんだろうか。その展開が丸ごと消えた結果残ったのが、会話の中にだけ出てくる接待を要求してくるまほろば担当者なのかなと思った。1エピソード消えたどころの話ではなさそうだけど、なんだったんだろう。

ジョン王@御園座

冬のライオンの知識だけで乗り切ったけど何となく理解できた。ジェフリーとその友人フランス王フィリップに思いを馳せていた。ジェフリーの妻が玲央さんなのも。

物語としてはひたすら戦争の行ったり来たりで、特別キャラクターが掘り下げられる訳でもないので、見方がわからないまま終わってしまった。
最後の演出も、天邪鬼なので「考えさせられる」と抵抗したくなっちゃう。後味ざらっとさせる効果はあった。

 

1幕後半はコンスタンス劇場。ころころ変わる声色に魅了される。

リチャード、最初の格好で戦場にいると信長協奏曲を思い出す。がっつり殺陣はそれほどなかったけど、木刀をくるくる回す仕草が好きだった。私生児は口が上手くて歴史を変えてくのかと思いきや、どちらかというと振り回される側で、歴史の傍観者の位置付けなのかなと思った。

少年アーサーが人の良さそうな努さんに一目で懐いた瞬間に、後の展開を予想してああ〜〜〜ってなった。ああいう不憫な役が本当に似合う。

歌の演出はあんまり好きじゃなかった。冗談のつもりなのか判断しづらいシーンもあったり単純に歌ってるの見るだけの時間もあって、意識が引き戻されてしまった。

2023「エリザベート」

1/11 @博多座
さいこうだ〜〜!!!怖くて気持ち悪くて最高。
1幕の闇広、表情が気持ち悪くて好きすぎる。
芳雄さんの最後のダンスなんか両手で数え切れないくらい聴いてるんだけど、トートだとやっぱり違うんだよな。怒っていて圧倒的。

蟄居を命じられて父に厳しく言われているルドルフをものすごく邪悪な笑みで見つめていた。
かと思ったらラスト愛のテーマがすごく優しい表情で、これは人生の終わりに和解できたシシィにとっての死なのかもなと初めて思った。最後の最後は絶望の表情で涙まで浮かべていた。

髪型変わってた?あんなに編み込み多かったっけ?青メッシュは健在でした。すけすけガウンの中に着てる刺青インナーが背中にも模様入ってるのが見えた。
TDとのコンビネーション見たいんだけど、顔と表情が好きすぎてかなり定点になってしまった。なんか、とにかく、顔が好き……。表情筋がディズニーアニメ。キレている顔、迫っている顔、邪悪な笑み、感情が読み取れない顔も全部好き。
ルキにベタベタする癖も生きていて、黒ルキは比較的トートのこと好きそうなのでかみ合っていた。上山ルキは距離がある印象があるのでどうなるのか気になるな。

いちばん実在感のあるトートだった気がした。表情がめちゃくちゃ変わるけど翻弄されてるというのも違って、怒って迫って指先で動かして笑って目を見開いている。

腕組んで片手を口に寄せてたり、子ルドから受け取った拳銃を唇に寄せるのを闇広でもマイヤーリンクでもやってたり、体操室で椅子に片足だけ乗せてから上がったり、仕草が好きだった。悪夢も煽るというより自分の世界で楽しんでる感じ。

 

井伊くん子ルド、芝居歌!って感じで強かったなあ。ママどこの登場でママ!ママぁ……って声が落ちて、最後のフレーズで涙声になっててもらい泣きしそうになった。

しゅがさんは私の中では晩年の方がご本人の声のイメージに近いんだけど、青年期も声若くてキラキラで素敵。執務室でぐっと深さが増す。悪夢は最強バトルで幸せだった。

シシィ両親がほんと毎回好き。
♪夫の代わりにシシィを連れてきたの のお芝居が間のみになってるとこ好き。結婚式で「あの子王冠落としたのよぉ……」って報告してるのも好き。後ろ髪引かれ続けてるマックスをなだめて手を引いていくルドヴィカ好き。

 

カテコ、これまでのカンパニーの激励。
「何の試練だって感じで大変だったのに僕の稽古に付き合わせてしまって」「ぱらぱらと集まってくるのが戦士たちが戦いを終えて帰ってくるみたいな」
衣装の話
「久々にこの衣装も着ましてね、初めてのメンバーもへ〜こうなってるんですね〜って見に来たり」「今回やって思ったのは、この魚の骨はトートのコレクションなのかもしれないですね、おっきい魚捕まえてたみたいな」
「こいつめっちゃ喋るじゃんって思ってるでしょ」「お正月の帰省のついでにやってるとかいう陰口も聞こえてきますけど、いやいやそんな片手間ではトートはできないですからね!」
ほんと何かに追いたてられてるようにめちゃくちゃ喋っていて面白かった。

 

1/12 @博多座

芳雄トート、意志を持って動く厄災みたい。彼が決めたことは決まったこと。2019年はもう少し動揺の感情があったと思うのだけど、その辺がまったくない。
「最後に勝つのは俺」なのは決まっていることだけど、自我を持って自分の思いに背かれると苛立ちはする、のでキレて迫りにはくる。

どちらかというと切長狐目の方だと思うんだけど、今回笑って目見開く表情が多くて普段と顔が違って見える。口は笑いながら目が怒ってる。

なんとなく両シシィの性格に合わせて攻める強さを調節してる気がする。ちゃぴシシィに対しての方が怖さが強かった。


芳雄トートにとってルドルフは駒でしかないし、甲斐ルドは本当にちょろかっただろうな。友達だって言ったら嬉しそうにするし、ちょっとけしかけたらその気になる。大汗で表情ころころ変わる甲斐ルドと、指先で人を操り魅力的な表情で人をこましにくる芳雄トートの闇広最高だった。

甲斐ルドの母親に向ける笑顔が、媚びてるような憧れのヒーローを見る少年のような。何とかしてくれるでしょ?ってすがる顔。でも母は何ともできないことが積み重なって今に至るんだよ。

TD8人いるな〜って見てて嬉しかった。不在分埋めてるときも違和感なくカバーされてたけど、揃うとやっぱり迫力が倍増するね。

 

お花様から初日のご挨拶と今日初日キャストの紹介あり。
「おかえりなさい」って言われた芳雄さんが前に出て「帰ってきたば〜い!!」ってやってたら「昨日喋ったんでしょ」ってシシィに下がらされる。下がってきたトートの魚の骨嬉しそうに笑いながら触る陛下。

 

1/30 @博多座

胸いっぱい。感無量。

 

悪夢、ものすごく邪悪でものすごく怒っていた。敵意剥き出しの怒りをフランツに向けていて、フランツも一心不乱に怒り狂っていてまさしくバトルだった。フランツと彼越しに見えるトートの画一生忘れない。

最後の愛のテーマは穏やかさの中にずっと戸惑いが見えた。シシィ主導で抱きしめてキスして、求めていた人に目の前でひとり逃げられたような呆然とした表情。シシィの完全勝利のラストだった。

最後のダンス登場の気怠げさ大好き。指先でTDとシシィ操りつつ静かに眺めている。静かな余裕の笑みから執着と苛立ち大爆発のコントロールが最高でした。

1幕闇広、長女の棺を見て打ちひしがれるシシィを眺めて後ろにもたれながらニヤァって笑うの邪悪。こっちも執着と苛立ちを隠さない表情が怖くて大好き。

カフェの閣下、何の疑いもなく革命家の顔してるんだけど、徹底して片手で周りの人間コントロールしてるの好き。

体操室、しわがれたドクトルの声色からシシィの決断を聞いて閣下に戻っていく。♪彼が罪を犯したなら〜で、ものすごく嫌な笑顔で高笑い。長い足がベットにかかる。脈とった後に熱計るの、いつも手の甲を頬に寄せてるんだけど、今日その流れで頬に張りついた髪の毛を小指ですくってはらっていて、やばかった。

闇広圧巻だった。♪不幸が始まるのに〜のがなりで追い詰められて革命に引っ張り出されたように感じた。1階影コが響き渡って教会みたいな神聖な雰囲気すらあった。

子ルドに見せる優しい友達の顔は青年になってからも同じで、マイヤーリンク登場時すら絶望にしみ込むような気遣わしげに"見える"表情で銃を差し出す。最期ふっと微笑んで倒れたルドルフにとって、トートのそばは数少ない安らげる場所だったのかな。甲斐ルドに対するより優しい気がした。

銃も鞭も口に寄せて喰らわんとするの、衛生的な裏事情もあるんだろうなとは思うんだけど、舌出すより閣下っぽくて好き。

私だけにの後、♪トート閣下はご機嫌斜めだよって言われるのに、その前後で閣下出てこないの不思議だなって思ってたんだけど、芳雄トートは最後のダンスと闇広で明らかにご機嫌斜めなので、初めて腑に落ちた。

トートロード寄りの席で、照明当たってなくて闇に溶ける閣下を肉眼で見た。美しかった。ベロアのロングコートかっこいいよね。


私だけに、絶唱で言葉もなかった。この時間冷凍保存して後世に残したい。

精神病院もパパみたいにリプライズも、色々なことを求めながら同時に諦めてきた花シシィの人生を感じて哀しい。ずっと横で首を振って否定している女官さんも涙腺にぐっときた。そばで見ていて「強い皇后」だけでない強さも知ってるんだろうけど、彼女の肯定だけではシシィの心は解けないんだろう。

ルドルフ葬儀、狂気に振れるほどの悲しみでフランツが目に入っていない。フランツが悲しいのは拒絶されたことだけじゃなくて、こうなってしまった全てのことが自分の行動と判断に起因しているからかな。

夜のボートはものすごく愛を感じた。ふたりとも涙を溜めていて、悲しみを分け合いたいフランツと、こうなった以上元に戻ることはできないシシィのすれ違い。まさにあなたがそばにいればとの対比になっていて、あの頃より愛は深くなっているけどだからこそもうあの頃には戻れない。
あなたがそばにいればで既に薄々気づいていながら見て見ぬふりをしていた「自由」がフランツにとってずっとしこりなのがすごくよく分かった。だからトートも最後に自由を持ち出して攻めたてるんだけど、トートが与えたものでもなく、エリザベートは生きて自分で勝ち取ったんだよね。

HASS前の親子喧嘩、母のことぶつけたら父の傷に触れるのは間違いないんだけど、それを効果的に使うにはルドルフにとっても傷すぎる。親子ふたりでただ傷つけあってる気がしてつらい、あのシーン。

皇后の勝利~マダムヴォルフのグリュンネ伯爵、いろんな娼婦に寄ってこられてあわあわしてるし、あの人だけは普段遊んでないんだろうな。皇帝の相手見つけて買う使命をまっとうしてるだけに見えた。さすが信頼の右腕。


カテコ、2回目左右にロイヤルにお手振りするフランツ。そのままくる〜ってトートの方まで回ってお互いに手振りあって幕が降りていった。
シシィトートのカテコ3回。2回目いつもの勢いのあるお辞儀したあとにハグ!芳雄さんが腰ポンポンってしたら肩ポンポンポンってたたき返すお花さま。

本当に本当にありがとうございました。

 

@前楽配信
上山ルキ、降臨した閣下に糸つけられた瞬間に暗殺者になることを定められたみたいな感じがした。それまではそれなりに義憤を抱きながらカフェや牛乳売りで生活してる市民だったのに。閣下に触られるときの恍惚でもないニヤッていう表情好き。
「ミルク〜新鮮なミルク〜」「おうおうおう、はいはいはいはい」「最後の一缶だ!」「ないものはないんだ!」「在庫なし!」が市井のミルク売りのそれで好き。申し訳ないんだけど仕方ないだろと思ってるミルク売り。
♪皇后〜そう!の部分、2019成河ルキの発音がしばらく踏襲されてた気がするけど、この回の上山ルキ過去のどのルキとも違ってすごくいい。


ちゃぴシシィ、愛と死の輪舞曲でトートに引っ張られるときほんとに引っ張られて肩から持ち上がる。シシィに見つけられても何の表情も出ないの、芳雄トートたる全てが詰まっていて好き。

結婚式のちゃぴシシィ、オルゴールのお人形みたいで本当に可愛い。閣下が真ん中立ってシシィと動きがぴったり重なるところぞくっとする。

芳雄トート周りをなぞるような仕草が多くて直接触れること少ないのに、最後のダンスでは物理的に腕引っ張ってシシィ引きずっていくの好きだ。

ちゃぴシシィの私だけに、あまりにも強い光。

とにかく1幕闇広が気持ち悪い!!対ちゃぴシシィだと3割増しで怖さが増していて、あの声の震えとガッと目見開いた表情が好きだ!!
片腕組んで娘の棺見せながらシシィ観察してる閣下。一連の表情の引き出し、あの善良な人間のどこから生まれてくるの。

「あなたが??自由を???笑」のちゃぴシシィ強すぎる。♪嵐の夜もそばにいようでちょっとだけ気遣わしげな顔見せる閣下、懐柔しようとしてるっぽくてちょっと可愛い。♪俺が望むときに好きな音楽で〜で腕に口寄せて這わせるの好き。

♪嘘だわひどいこと〜の前にコルセット落とす音が音楽にはまるのすごく好き。♪でもないさの5文字でドクトルから閣下に切り替わる声色コントロールの見事さ。♪"あ"いつを"あ"いしちゃいない〜の踏み方が本当に好き。

閣下が人間をこっち向かせるときの手首のひねり。♪見ていていいのかぁ!と♪立ち上がれよ!のざらざらした声色、煽りの効果倍増。嗜虐的なトートと透明で純粋で壊れそうな青年、綺麗なシャボン玉叩き潰すみたいな美しさがある。

マイヤーリンク後、何の感情も見えない顔で去っていくトート。

ルドルフ葬儀のしゅがんつ、彼は彼で当然悲しくて、彼に寄り添ってくれる人もいてほしいと思ってしまった。しゅがんつに関してはヘレネと結婚してた方が「幸せ」ではあったんだろうなと思うこともあるんだけど、彼自身がそれを選ばなかったんだよね。
ルドルフ葬儀後、魅惑的な表情でキスしようとしたのにシシィを拒絶した後、自分でも困惑しているような顔が好き。
銃も鞭もやすりも口を寄せて大きく開けて食らわんとしているの、シシィに対してもそうで、黄泉に連れて行こうとしてる場面の表情がキスというより食べてしまいそうなんだよね。

悪夢ま〜じで好きだ。回を追うごとに凶悪度が増している。
期間前半の余裕綽々も好きだったけど、あそこまで怒りをあらわにしてるのも好き。"表情管理"的なものを超越する怒り顔が出てくる。

なぜか一場面でしか並ばないゾフィーとマックスの関係にぐっとくる。特に涼風ゾフィーだと、毛嫌いするだけ無関心より興味を持ってる気がする。

妻が何を求めてるのか本当はわかってそうなしゅがんつ、母との諍いも見ない振りした上で自分は相手に安らぎを求めるので、分かってないよりたち悪い気がしてきた。
これはずっと思ってた陛下への愚痴だけど、母が経験豊富なのは母が自分で子育てしてきたからで、今回も母親にやらせたらその能力は育たんやろがい、国の長なら人材育成も見据えて発言せんかい、とずっと思ってた。

現地だと指向性の問題で聞き逃すアンサンブルさんの声が配信だと聞こえるので、ガヤガヤしたシーンが楽しい。

 

少なくとも配信回はだけど、書斎とか体操室とか弱ったシシィに迫る場面でトート自信が魅力的に見える見せ方を避けてる気がする。顔寄せるときに口大きく開けるのもそれな気がする。
閣下をピックアップして見ていくと、人格をかなり廃しているように見えてくる。
新たな強力な解釈のトートを見られて本当に幸せでした。

 

@大楽配信
ゆんトートの輪舞曲は嬉しそうで可愛い。最初は怪我によるものだったのかもしれないけど、TDがシシィ抱えて運ぶ動きにトートとTDが一心同体な感じが強く出てて好きだな。親戚が気づく前にTDに囲まれてるのも死の淵っぽい。
そういえば悪夢で発狂する上の妹って、最初にシシィの落下に最初に気づくあの子だよね。物語のカメラに映らないけど同じ家から同じく破滅の運命を辿るのつらい。

シシィへの感情、涼風ゾフィーは同族嫌悪で、剣ゾフィーはああいう奔放な人間がそもそも苦手そう。涼風ゾフィーはマックス嫌いなのも少なからず似た属性を自分も持っているからな気がする。

やっぱり私にとって日本のハプスブルク家はまりまりなんだよ。破滅に向かうって分かっていても、プロポーズもあなたがそばにいればも結婚式も高貴で美しい。

最後のダンス前の音ハメでTDがひとりずつ起動していくの、閣下を迎える装置みたいで好き。自由なフェイク歌唱に湿度の高い表情の最後のダンスが本当にかっこいい。

結婚後のまりんつ、ぎりぎりで助けを求めた夫に笑顔で檻の鍵かけられるみたいな、絶対にシシィの思い伝わってないだろうなっていう絶望を感じる。でも彼の愛の大きさはわかるからつらい。

三木くんこの4ヶ月でみるみる大きくなって、精悍な少年になっていてびっくりした。いちばん見た子ルドでした。みんな歌も芝居もすごい好きだったな。

2幕頭カテドラルのシシィって、パレードの時からトート見えてるんだね。そして何かを見ている妻に気づいてるフランツ。
ママどこ最後で子ルドのこと見つめながら肩で息してるゆんトート、かなり狂気を感じて好き。息子のこともお気に召したのかシシィとつながる糸に興奮してるだけか。

鏡の間以降ずっと花シシィの高貴さが溢れ出してる。だからこそ精神病院のナチュラル傲慢ムーブの説得力がすごい。シシィが戦って今ここにいるのも今もつらいのも全部本当だけど、同時にやっぱり傲慢ではあるよ。

体操室で陛下の裏切り知らされてものすごくショックを受けて泣いてまでいたシシィ。フランツもずっとすごくて、対シシィのシーンはもちろん、ゾフィーとの最後のシーンも感情が詰まっていた。杖を鳴らされると自然と背筋伸ばしてしまうけど、それでも母を振り切るフランツ。まりんつは母親と一心同体なので身を切るような苦しみがある。

こう思ったらこう!な晩年のまりんつに、頑なな甲斐ルドは似てる。でも雰囲気がシシィに似てるところもあって、父の説得にママを持ち出すの本当に見ていてつらい。

♪誰も助けられない〜(パッと笑って)ママだけが〜のところ映像だと鮮明に見えて、ちょっと嫌悪感すら感じる。でもルドルフにとって母はなかなか会えない英雄だもんね。

ゆんトート、マイヤーリンク後のルドルフとの死の接吻がヅカキスの極意。相手の顔に寄せた手で口隠して正面に向き直るまで美しくてとても好き。
ルドルフ葬儀で、入ってきた妻を見とめて小さく「シシィ……」って呟くまりんつ。2幕って冒頭の戴冠式以降ここまで一切夫婦が会わないんだよね。

悪夢、いつも皇帝然とした居住まいを崩さなかったまりんつがぐしゃぐしゃになりながら抵抗するの本当に好き。

 

ラブ溢れるカテコも配信で見られた。本当にお疲れ様でした。
次回あるとしたら本当にがらっと変わるんだろうなと思ったな。お花さまだけでなく作品としてもひとまずの集大成かもって感じたし、変わった形も絶対見たい。

この大楽が見られたことが何よりの幸せでした。私は個人的な思い入れで花よしまりを優先して取ったけど、配信されたのがこの組み合わせだったのは良かったと思う。
奔放なシシィと苛烈な帝王がより強く噛み合ってたし、大楽の3人のトーンが近くてぐっと深みを増していた。

最後、大好きな皇帝夫妻の夜のボート聴き終わったところでエンドでした。
エリザベート2022-2023終了!