みなも泳ぐ水鳥も

観劇と他の趣味

2019「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」

両コンビ1回ずつ見れました。

 

万里生トム・元基アル

初見はこちら。イメージは逆だけどどうかな~と思ってたら、ばっしばしに刺さった。

元基アルは、登場から落ち着いたトーンで寂しげな顔をしていて、トーマスの頭の中に住んでるアルヴィンなのかなと思った。トムの記憶の中にいて、自分の後ろめたさや罪悪感と紐づいている記憶はとりわけ鮮明に、トムを通して見たアルヴィンが出てくる。

 

まりトムは小さいころはけっこう素直で可愛くて、むしろアルヴィンよりふわっとしていた。でも中学にあがった蝶のくだりくらいからどんどん当たりが強くなってくる。

自分の方が"ちゃんとしている"っていう自信と、どこかでアルヴィンには勝てないって気づいてる敗北感がないまぜになっている感じ。世間みたいなものにとらわれない人の自由さに劣等感を抱く気持ちはものすごく覚えがあるので、ここからずっと見ていて苦しかった。

 

独立記念日は曲も演出もアルヴィンの表情もキラキラしていて好きだったので、「こっちに来るな!」で断ち切られたのものすごく辛かった。こちらまで胸が痛んだ。トムもめちゃくちゃ罪悪感抱えてるんだろうな。

 

♪すごいよ~ね、元基アルは嫌味とかではなく寂しくて、でもほんとにすごいとは思ってて、でも寂しいという感じ。あれにいら立ちを感じるトムは、自分の創作の原点がアルヴィンだって自覚があるんじゃないかなと思った。

 

最後の元基アルの「それが本当にあったことだって思ってるの」が、優しいけど冷たくて、ぞくっとした。ここまでトムが見てきた(作り上げた)、後ろめたさとともに存在するアルヴィンだったのに、急にトムの知らない世界を持つひとりの人間になった感じ。

どれだけ関係が深かろうが他人の思いや考えは本当には分からないけど、それでも人はそうやって生きていくんだよね、というコンビだった。

 

 

元基トム・万里生アル

見た順番にもよるかもしれんけど、一つ目に比べるとこちらはかなり優しい感じがした。役を背負ってないときの万里生くんの振る舞いとアルヴィンがカチッとはまったのもあるかな。笑

 

こちらのアルヴィンは、苦しんで行き詰っているトーマスのもとに派遣された天使って感じ。 クラレンスではないけど。

実際に生きていたアルヴィンもあんな感じの人で、だから内に秘めた悲しみが見えにくかったのかもなと思った。

 

君はすごいねは若干煽りを感じたし、カードの「返事をくれたらいいのに」も「遅刻だよ~~~!」も自分をないがしろにしているトムをチクチク刺してる感じだった。けど、それが逆にトーマスに強烈な愛を向けるアルヴィンの人となりを見ているようで安心感があった。

まあこれは中の人を通して見た私の偏った感想かもしれない。笑

 

このアルヴィンはこれからもなんやかんや近くでわあわあ言いながらトーマスを見守っててくれるんじゃないかなと思った。

ただ、トムに弔辞を書いてもらうために行動しちゃうのもこっちかな~って気はします。突拍子のない強い愛って感じ。

 

 

 

どちらにしてもアルヴィンの死の真相は明言されておらず、孤独に耐えられなかったのか、弔辞を書いてもらいたかったのか、もしくはトムとは全く関係ない理由なのかはこちらに委ねられているんだけど、そもそもこの物語の主軸はそこではないんだろうなと感じた。

相手に聞くことができない以上疑問は解決することはないけど、それを抱えながら生きていくしかないし、事実がどうであれ、あなたが彼と過ごしたあなたとの物語は真実だよ。優しいだけではないけど、残された人間はそう思って生きていくしかない。

 

優しくて綺麗でちょっと寂しい、絵本みたいな後味の作品でした。

 

 

日本初演を万里生くん元基くんで見られてよかったな~。色々考えてからもう一度見たいと思ったので、再演待ってます!初演のCDも映像も待ってます!!!

 

大千秋楽を見れたので、最後にものすごくじゃれながら挨拶して雪の中の天使歌うふたりを見れました。可愛い以外の何物でもないね。