みなも泳ぐ水鳥も

観劇と他の趣味

2019「けむりの軍団」

好きだった~~~!!!思えば新感線のシリーズものでない新作を劇場に見に来るの初めてだった。

 

倉持裕作品で描かれる、人生のままならなさが好き。今回も則治と莉左衛門が切なかった。 

 

則治は、河野さんのテンションもあって愉快で笑える"ダメな当主"として登場する。でもだんだん、権力だけが与えられて能力は期待されない、話し合いにも入れてもらえず自分には理解できないまま自分の首がかかった話が進んでいく恐怖が描かれていく。そんな状況で一歩踏み外すと狂人に転じてしまうかも、というのがとても悲しかった。

 

莉左衛門は、まずコミカルで一生懸命歌って踊り、頭抱えてうわ~ん!な早乙女太一を見せていただいてありがとうございました。そのうえであくまでも彼には業を背負わせなければいけないという意思が見えて最高だった。

莉左衛門の上手く話すのが苦手な設定は、コミカルさというのもありつつ、後半で陥れられたときに弁解できず、嵐蔵院のシナリオに利用されてしまうというところに効いてくる。頭もいいし腕も切れるのに、言葉で身を守ることができないキャラクターなんだなと思った。

 

作劇上のコミカルな要素が、のちにキャラクターが辿る顛末の原因になるというつくりは、笑って見ていた自分の足元がひっくり返されるような感じがする。

 

あとは劇団員の皆様がものすごく楽しそうで、観ていて楽しかった。

寺チーム3人組がテンション高すぎて笑った。あと粟根さんの長物使いがめちゃくちゃかっこよかったです。

成志さんもさすがとしか言いようがなかった。役とメタをぐらんぐらん行き来してふざけつつも、これは百姓に愛される領主だわと実感させられる説得力。

 

早乙女太一と川原さんの殺陣を生で見られて幸せでした。